皆さんは不動産投資を始めるときに自分一人のお金で不動産を購入しなければならないと思っているかたもいるでしょう。

マイホームでも共同名義で購入できるように投資用の不動産でも共同名義で購入ができます。しかし共同名義にはメリットもありますが、デメリットもあります。

安易に一人では資金繰りが厳しいから共同名義にしてしまうと、のちのち思わぬトラブルになりかねません。デメリットを理解したうえで、アパート経営に活かしていきましょう。

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1. アパート経営は共同名義でもできるのか

アパート経営は共同名義でもできます。たとえば夫婦の共同名義で投資用の不動産を購入できますし、親が所有していた不動産を兄弟で相続して、アパート経営を始めるといったケースがあります。 

そもそも共同名義とは、2人以上が出資して、その割合に応じた持ち分によって不動産の登記を行うことを言います。相続の場合、出資はないので、遺産分割協議で決まった持ち分で所有することになります。

共同名義になったアパートは共同名義者の持ち分に応じて不動産登記をする必要があります。そしてその登記された持ち分に応じて、収入や経費、最終的に手元に残る所得を分配することになります。

2. 共同名義でアパート経営を行うメリット

それでは共同名義でアパート経営を行うメリットは何があるのかについて解説していきます。

2.1 メリット①収入を合算するため融資金額が多くなる

一番のメリットは収入を合算することで借り入れできる金額、いわゆる融資の受けられる金額が多くなる点です。

自己資金がなければ、不足する分は金融機関などから借り入れをする必要があります。借り入れは基本的に収入やほかのローンがないかなどの審査によって融資をうけられるのか、いくらまで融資をうけられるのか、融資する場合の金利を何パーセントに設定して融資するのかが判定されます。収入が多ければその分、融資を受けやすくなりますし、融資を受けられる金額も増やせる可能性があります。融資が受けられる金額が多くなれば、それだけ購入できる不動産の選択肢が増えます。融資の審査基準については借り入れ先によって異なります。

2.2 メリット②管理業務を分担できる

アパート経営をするには日ごろの管理業務が伴います。一人であればその管理業務も一人でおこなう必要がありますが、共同名義であれば役割分担ができます。

たとえば日中の問い合わせや清掃は日中に時間がある人が対応し、日中ではなくてもできる不動産の帳簿づけは別の人が対応するといったことも可能です。

またアパート経営するうえで修繕工事や入居者のトラブルといったことは避けて通れません。その際の意思決定するときにも共同名義者同士で協議をして対応を決めることができます。経営判断に迷ったときには相談できる相手がいるのも共同名義のメリットといえるでしょう。

2.3 メリット③ミスや不具合に気付ける

一人だと忙しくて手が回らずに見過ごしてしまうミスや不具合も複数人で管理することで気づけます。

たとえば日ごろの帳簿づけの作業も一人で入力していると入力漏れに気づきにくいですが、入力後に共同名義者にチェックしてもらうことで入力漏れや入力間違えに気づけるでしょう。

アパート経営に役立つ5つの資格とは?必要な知識や勉強方法も紹介

3. 共同名義でアパート経営を行うデメリット

ここまでメリットについて解説してきましたが、もちろんデメリットもあります。自分一人であれば即断即決で決められることも複数人で所有していることでなにかあるたびに協議をおこない、共同名義者の同意を得たうえで進めていく必要があります。そうなると物事を進めるにも時間がかかってしまいます。そのためメリットとデメリットを比較したうえで共同名義のアパート経営をするのかどうかを判断しましょう。

3.1 デメリット①意見の食い違いが起こる

意見の食い違いが起こるケースとしては、大規模修繕のときです。大規模修繕には多額の金額がかかるため、どのタイミングでおこなうのか、その資金繰りはどうするのかなどの問題が生じます。

共同名義であればこのあたりも協議をして決める必要があります。片方はすぐにでも修繕をしたいが、もう片方は資金がないから修繕を先伸ばしにしたいといったことが考えられます。協議がまとまらないと大規模修繕に着手できないため、早急に修繕が必要なのにできないといったことになりかねません。その判断が遅いことでもしかしたら入居者に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

また大規模修繕の内容が資本的支出として減価償却の処理が必要な場合は、誰が何割費用負担をしたかに応じて減価償却の計算をしなければいけません。

下記の記事では減価償却について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

アパート経営におけるアパートの減価償却と法定耐用年数とは?

関連記事:アパート経営でオーナーが負担すべき修繕部分と修繕費の目安

3.2 デメリット②経理業務や確定申告などが煩雑になる

共同名義の場合は、持ち分に応じて家賃や更新料、礼金といった収入はもちろん、アパート経営をするうえでかかった固定資産税や損害保険料、地代家賃や消耗品といった経費を按分して確定申告をする必要があります。 

たとえば家賃が入ってくる口座や、かかる経費の引き落とし口座が一つの口座にまとまっていたらさほど経理処理は煩雑ではありません。しかしこれがたとえば固定資産税や損害保険料といった経費の支払いは妻の口座から、家賃収入は夫の口座に入金があるとなると、それぞれの口座取引を帳簿につけていかなければならず、経理処理をしなければいけません。そうなると経理処理が煩雑になってしまいます。

また減価償却の計算も持ち分で計算する必要があるため、その計算も煩雑になってしまいます。共同名義の場合は毎月家賃収入やかかった経費を持ち分に応じて計算をして帳簿を作るよりかは、まずは按分計算をせずに帳簿を作成し、最終的に出来上がった帳簿をもとに持ち分比率に応じて家賃収入やかかった経費を按分計算して決算書を作成したほうがスムーズにできます。問題点としては、帳簿づけをしているかたが帳簿を完成させてくれないと、共同名義者は確定申告を終わらすことができない点です。

以下の記事では、確定申告の手順や注意点について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

アパート経営における確定申告と年末調整の違いとは

3.3 デメリット③アパートの所有権が複雑になる

最初は2人での共同名義であったアパートでも、どちらか一方が亡くなってしまった場合には相続が発生します。どのように相続をするかにもよりますが、相続の仕方によってはアパートの持分がさらに複数人に分かれてしまいます。相続であれば身内なのでまだ話が通じるかもしれませんが、相続以外の何らかの事情によって不動産の持ち分を手放さなければいけなくなった場合には、見ず知らずの第三者が持ち分を所有することになります。 

所有権が複雑になりすぎると、売却の手続きはもちろん修繕の協議なども意見がまとまらなくなってしまう恐れがあります。

4. アパート経営を共同名義にすることで起こり得るトラブル

アパート経営を共同名義にすることで単独名義では発生しないトラブルもでてきます。理解のあるかたと共同名義になっていたとしても、将来的にはトラブルのもとになる可能性があります。どのようなトラブルが考えられるのかを紹介していきます。

4.1 経営方針において対立が生じる

当初の購入のときには共同名義者同士で何事もなかったとしても、将来的には経営方針の話がうまくいかずに対立してしまうことも珍しくありません。たとえば大規模修繕をするのかしないのか、将来的には片方は不動産の売却を検討しているが、もう片方は賃貸経営を継続したいなどさまざまな場面で経営方針の相違が発生します。その時に話し合いで解決ができれば、問題ありませんが解決できなければ裁判をするといった大事にもなってきます。そして対立が深まれば深まるほど身動きが取れずに、思わぬ損失を被ってしまう恐れがあります。

4.2 賃料を独占される

不動産が共同名義になっていたとしても、不動産の賃料は持分に応じて入金がされるわけではありません。不動産会社の仲介が入っている場合は、指定した口座に毎月賃料が入金されます。最悪の場合、その口座の通帳やキャッシュカードを握っている名義人が賃料を独占してしまうこともあるでしょう。

その場合はその者に対して、自分の持ち分に応じた収入を請求できます。この権利を不当利得返還請求権といい、裁判所に訴えを提起して認められれば、過去10年間にさかのぼって独占者から賃料の返還を受けられます。ただしこういったことが起きてしまうと、その後共同名義で不動産を所有していくことは難しいでしょうから自分の持ち分を第三者に売却するなり、弁護士に依頼をしてその不動産を売却するといったことを考える必要があります。

4.3 管理業務の分担が一方に偏る

アパート経営の管理業務にはさまざまなものが存在します。

たとえばアパート入居者の募集や審査、家賃の回収、入居者のトラブル対応、確定申告のための経理業務といったものがあります。共有者同士で業務負担が一定になるように分担できれば問題はないのでしょうが、それぞれお勤めだったり、家庭の事情だったり、一定の割合になるように業務を分担するのは難しいケースもあります。そのときにお互い折り合いがつけば問題ありませんが、折り合いがつかずに不満が募ってしまうとのちのちトラブルになります。

もし管理業務の分担により問題が発生しそうな場合は不動産会社に管理業務を委託する、日々の帳簿づけや確定申告は税理士にお願いするといった方法で解消できます。自分たちで解決できない問題は専門家を頼ることでお互いストレスなく、アパート経営に専念することができます。

4.4 配偶者や子どもなどが巻き込まれる

アパート経営を始めた当初の共同名義者同士ではトラブルがなかったとしても、その共同名義者のいずれかが亡くなって相続が発生した場合にはそのアパートを相続することになった配偶者や子どもが否応なくアパート経営に巻き込まれることになります。

たとえば相続で引き継いだアパートを売却したいと思っても共同名義者の同意が得られなければ売却ができません。こういった将来的なトラブルを避けるためにも生前のうちから配偶者や子どもにアパート経営について詳細を伝えておくことが大切です。また最初からアパート経営に携わりたくないという意思があるならば、相続のときにアパート経営に理解があるかたに相続できるように遺言書をまとめておくといったことでトラブルを避けられます。

5. 共同名義のトラブルを未然に防ぐ3つの対策

共同名義でアパートを所有する場合は、経営方針や費用負担を巡って共有者同士の意見が分かれることがあります。
そのため、物件を取得した段階で管理業務の役割や家賃収入の分配方法、修繕費の負担割合などを決めておくことが大切です。
また、口頭で合意するだけでは認識の違いが生じる可能性もあるため、決定事項は書面に残して共有しましょう。 

以下では、共同名義のトラブルを未然に防ぐための対策法を3つ紹介します。 

5.1 管理業務の分担を共有者間で決めておく

共同名義のアパートでは、入居者募集や家賃管理、修繕手配、問い合わせ対応など、さまざまな管理業務が発生します。
担当者を決めないまま経営を始めると、一部の共有者だけに負担が集中したり、必要な対応が遅れたりする可能性があるでしょう。 

そのため、誰がどの業務を担当するのかを事前に話し合い、連絡方法や判断できる範囲まで明確にしておくことが大切です。
また、担当者が対応できない場合の代替方法も決めておけば、管理業務の停滞を防ぎやすくなります。 

5.2 家賃収入や経費の分配ルールを決めておく

家賃収入や管理費、修繕費などの分配方法が曖昧なままだと、共有者間で金銭トラブルが生じやすくなります。
基本的には持分割合を踏まえて分配する方法が考えられますが、管理業務を担当する人への報酬や、一時的な費用負担をどのように扱うかも決めておく必要があるでしょう。 

また、大規模修繕や設備交換の際に誰が資金を用意するかについても、事前の取り決めが欠かせません。
収入と支出の記録を共有し、定期的に収支を確認できる仕組みを整えることが大切です。 

5.3 管理会社への委託を検討する

共有者がそれぞれ仕事や家庭を持っている場合、自分たちだけで管理業務を続けることが難しくなる可能性があります。
そのような時は、入居者募集や家賃回収、問い合わせ対応、修繕手配などを管理会社へ委託する方法が有効です。
第三者が管理を担当することで、共有者間の負担や意見の対立を抑えやすくなるでしょう。

 ただし、委託範囲や管理手数料、修繕時の承認方法は会社によって異なります。
そのため、複数社の契約条件や対応実績を比較したうえで選ぶことが大切です。

6. 共同名義のアパートで賃貸借契約を結ぶ際のポイント

共同名義のアパートで賃貸借契約を結ぶ場合は、通常の契約条件に加えて、誰が貸主として契約を行うのかを明確にする必要があります。
共有者間の認識がそろっていないと、契約更新や修繕対応、家賃変更などの場面で判断が遅れる可能性があるでしょう。
また、物件ごとの禁止事項や費用負担についても、契約書に具体的に記載することが大切です。 

以下では、共同名義のアパートで賃貸借契約を結ぶ際のポイントを3つ解説します。

6.1 物件ごとの契約条件や特約を明記する

賃貸借契約書には、家賃や契約期間、更新条件だけでなく、物件ごとに必要な条件や特約を明記することが大切です。
例えば、ペットの飼育や楽器の使用、駐車場の利用方法、退去時の費用負担などを曖昧にすると、入居後のトラブルにつながる可能性があります。
また、設備の故障や修繕が必要になった際の連絡先も記載しておくと、対応が円滑になるでしょう。

 ただし、貸主側に一方的に有利な内容は認められない場合もあるため、入居者が理解しやすい表現で具体的に定める必要があります。

6.2 貸主となる共有者と契約権限を明確にする

共同名義の物件では、賃貸借契約書に記載する貸主や、契約手続きを行う人を明確にしておく必要があります。
共有者全員を貸主として記載する方法のほか、代表者を決めて契約手続きを任せる方法も考えられるでしょう。 

ただし、代表者がどこまで判断できるのかが曖昧だと、更新や条件変更、解約などの場面で問題が生じる可能性があります。
そのため、契約締結や家賃受領、修繕承認などの権限を共有者間で確認し、必要に応じて委任内容を書面に残しておくことが大切です。

6.3 必要に応じて専門家に契約内容を確認してもらう

共同名義の賃貸借契約では、共有者の権限や費用負担、契約解除の条件など、判断が難しい項目が含まれる場合があります。
契約書の内容に不備があると、入居者とのトラブルだけでなく、共有者間の対立につながる可能性もあるでしょう。

そのため、複雑な特約を設ける場合や権限関係が分かりにくい場合は、弁護士や司法書士、宅地建物取引士などへ確認を依頼する方法があります。
専門的な視点から内容を確認してもらうことで、曖昧な表現や不利な条件を見直しやすくなります。

7. 共同名義でアパート経営するには

アパート経営は必ずしも単独名義でやらなければならないわけではありません。共同名義にすることで融資を受けられる金額が増えて、当初は購入できそうになかった投資用不動産でも購入ができる可能性があります。選択肢が増えることによって思い描いているアパート経営を実現できるのであれば一つの方法として共同名義を検討してみるといいでしょう。 

ただし安易に共同名義にしてしまうと、のちのちのトラブルの原因にもなりかねません。将来トラブルにならないようにするためにも、共同名義にする場合はよく話し合ったうえで決めましょう。

また共同名義者だけではなく、将来その不動産の持ち分を取得することになりうるご家族にも話をしておくことが大切です。

家族がその不動産を取得したくない場合には事前に共同名義者にその情報を共有しておき、その時に持ち分を買い取ってもらう、もしくはその時は合意のもと不動産を売却するといった対策を講じておくとよいでしょう。

せっかく取得した不動産が負の遺産にならないようにするためにも、共同名義でアパート経営をするときには注意が必要です。 

株式会社マリモでは、長期に渡って安定したアパート経営をご提案するための、愛され続けるアパート造りを目指しております。
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