インフレが進む局面では、現預金の実質的な価値が下がりやすく、これまでと同じ感覚で資産を置いているだけでは、将来の購買力を守りにくくなります。

しかし、不動産運用には、実物資産として価値を保ちやすい面や家賃収入を得られる強みがある一方で、金利上昇や空室、維持費増加など見落とせない注意点があるのも事実です。

この記事では、インフレの基本的な仕組みから、不動産が対策として注目される理由、押さえたいリスク、失敗しにくい物件選びの視点まで、資産運用の判断に役立つよう整理して解説します。

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マリモ賃貸住宅事業本部

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物価上昇(インフレ)の基本メカニズムと現預金が目減りする理由

インフレが進むと、現金や預金は額面こそ変わらなくても、買えるモノやサービスの量が減り、実質的な価値は下がります。 

とくに低金利下では預金利息で物価上昇を補いにくく、保有しているだけで購買力が目減りしやすい点に注意が必要です。 

以下で仕組みと背景を順に見ていきます。 

インフレが発生する主な原因と現在の日本経済の動向

インフレは、需要の増加でモノ不足が起きる場合や、原材料費・物流費・人件費の上昇で企業のコストが高まる場合に起こります。 

近年の日本では、エネルギー価格や輸入物価の上昇、円安の進行が重なり、食品や日用品を中心に値上げが広がりました。 

長く続いた物価安定局面とは環境が変わり、家計や資産管理でもインフレを前提に考える必要が高まっています。 

背景を知ることは、現預金だけに頼らない判断を考える重要な第一歩になります。 

銀行預金のままでは資産防衛として不十分である理由

銀行預金は元本が見えやすく安心感がある一方、インフレ局面では資産防衛として十分とはいえません。 

物価が年2%上がっても、預金金利がごく低いままなら、実質的な購買力は少しずつ低下します。 

額面が減っていなくても、将来買える量が減るためです。 

安全性だけで資産を置いておくと、気づかないうちに価値が目減りする点を理解しておく必要があります。 

守っているつもりの資産が、実は弱っていく構造を把握することが重要です。 

インフレ対策として不動産運用を選ぶべき3つの理由

不動産運用がインフレ対策として注目されるのは、現預金と異なり、物価上昇時でも資産価値や収益性を維持しやすい面があるためです。 

実物資産ならではの強みや、家賃収入、ローンとの関係を踏まえると、資産防衛の選択肢として検討する意義が見えてきます。 

以下で3つの理由を整理します。 

理由1:実物資産(現物資産)として物件価値が下がりにくい

不動産は土地や建物という実体を持つ資産であるため、通貨価値が下がる局面でも相対的に価値を保ちやすいといわれています。 

とくに需要のあるエリアでは、物価上昇や建築費の高騰を背景に価格が下がりにくい傾向があります。 

建物は経年で劣化しても、土地の価値が直ちにゼロになるわけではありません。 

現金中心の保有では受けにくい、実物資産ならではの耐性が期待できます。 

資産を形あるものに振り分ける意義が見えやすい代表例といえるでしょう。 

理由2:物価上昇のトレンドに連動して家賃収入が増加しやすい

インフレ局面では、賃貸経営の収入源である家賃も、周辺相場や運営コストの変化を受けて見直されやすくなります。 

とくに新築価格や修繕費が上がると、既存物件の賃料水準が支えられやすく、条件次第では増額余地も生まれます。 

もちろん一律ではありませんが、物価上昇に対して収入面で対応しやすい点は、利息がほとんど増えない預金にはない特徴です。 

保有するだけでなく、継続収入を得られる点も不動産運用の魅力につながります。 

なお、家賃上昇が見られる地域がある一方で、実際の賃料は地域需給や契約条件にも左右される点に注意しておきましょう。 

理由3:借入金(ローン残高)の相対的な負担額が実質的に減少する

ローンを活用して不動産を取得した場合、返済額が固定されていれば、インフレで物価や賃金が上がるほど返済額の相対的な重みは小さくなります。 

毎月の支払額が同じでも、将来の収入水準が上がれば負担感は和らぎやすいためです。 

とくに長期の固定金利で借りている場合は、この効果を受けやすく、借入を資産形成に生かしやすい点が不動産運用の特徴といえます。 

現金一括では得にくい、レバレッジ活用の強みとして理解しておきたいポイントです。 

インフレ対策の不動産投資に潜む5つのリスクと回避策

不動産投資はインフレ対策として有力ですが、利益だけで判断するのは危険です。 

金利上昇や流動性の低さ、維持費の増加、空室・滞納、税負担の変化など、運用成績を左右する要素は多くあります。 

成果を安定させるには、想定されるリスクを把握し、事前に備える視点が欠かせません。 

以下で主な注意点を確認します。 

政策金利の変動に伴うローン返済額増加の危険性

変動金利型ローンを利用している場合、政策金利の見直しは返済額の増加につながる可能性があります。 

インフレ対策として不動産を持っていても、金利上昇で毎月の支出が膨らめば、収支は想定より厳しくなります。 

とくに返済余力が小さいと家計や資金繰りを圧迫しやすいため、固定金利の活用や繰上返済、余裕を持った返済計画で影響を抑えることが重要です。 

購入時の想定より金利が上がる前提で試算しておく姿勢も欠かせません。 

すぐには不動産売却できない流動性の低さと現金化の難しさ 

不動産は株式や預金のようにすぐ売って現金化しにくく、必要な時にすぐ資金を用意できない点が弱みです。 

売却には査定、価格調整、買主探し、契約、登記など複数の手続きがあり、現金化まで時間を要します。 

急いで売るほど条件が悪くなることもあるため、生活資金や予備資金は別に確保しつつ、市場価格を把握しながら余裕を持って出口戦略を考えることが大切です。 

購入前から売却時を想定しておくことで、資金面の焦りを減らしやすくなります。 

物価高騰による建物修繕費や維持管理コストの増加

物価が上がる局面では、修繕に使う資材や工事費、人件費も上昇しやすく、建物の維持管理コストは重くなりがちです。 

築年数が進んだ物件ほど補修の機会が増え、想定以上の出費が収益を圧迫することもあります。 

そのため、修繕積立を厚めに見込むことに加え、定期点検で不具合を早期に見つけ、管理会社と連携して工事内容や発注先を精査する姿勢が欠かせません。 

購入時の利回りだけでなく、将来の維持費まで含めて判断することが重要です。 

安定した不動産利回りを妨げる空室および家賃滞納リスク 

不動産投資で収益を安定させるには、空室と家賃滞納への対策が欠かせません。 

入居者が決まらなければ収入は途切れ、滞納が続けば返済や管理費の負担だけが残ります。 

とくに需要の弱いエリアや相場に合わない賃料設定では、空室期間が長引きやすくなります。 

立地の見極め、適正賃料の設定、入居審査、保証会社の活用を組み合わせ、収益のぶれを抑えることが重要です。 

安定運用を目指すなら、購入後の管理体制まで含めて検討する必要があります。 

不動産の減価償却期間終了後に発生する税金負担の増加

減価償却が終了すると、これまで経費計上できていた金額がなくなり、課税所得が増えて税負担が重くなることがあります。 

帳簿上の利益が増えても、手元資金まで同じように増えるとは限らないため、想定外の納税が負担になる場合もあるでしょう。 

償却期間の終了時期は早めに確認し、修繕や設備更新、新たな投資の検討などを含めて、税理士と資金計画を整えておくことが大切です。 

税引後の手残りまで見据えて運用する視点が、長期保有では欠かせません。 

資産価値を維持するインフレに強い不動産物件の選び方

インフレ下で資産価値を守るには、値上がり期待だけでなく、賃貸需要や売却しやすさまで見据えて物件を選ぶことが重要です。 

立地、建物の状態、需要の安定性を押さえた物件は、家賃や売却価格が崩れにくく、長期運用でも強みを発揮する見込みがあります。 

以下で選定の要点を整理します。 

人口減少下でも賃貸需要が落ちない好立地エリアの選定

人口減少が進む局面でも、賃貸需要が落ちにくい物件を選ぶには、生活利便性の高い立地を重視することが欠かせません。 

駅近、都心部、大学や病院の周辺、再開発エリアなどは、就職や進学、転勤による流入が見込みやすく、空室リスクを抑えやすい傾向があります。 

将来の資産価値まで考えるなら、交通網や買い物環境に加え、人口動態や地域の開発計画も確認し、需要が続く場所を選ぶことが重要です。 

数字だけでなく、実際に住みたいと思われる環境かを現地で確かめる視点も欠かせません。 

適切な実質利回りを維持できる優良な賃貸マンションの見極め

優良な賃貸マンションを見極める際は、表面利回りの高さだけで判断せず、実際に手元へ残る実質利回りまで確認することが重要です。 

管理費、修繕積立金、固定資産税、空室時の損失などを含めて収支を見ることで、見かけより収益が低い物件を避けやすくなります。 

築年数、駅距離、周辺需要、管理状態を総合的に確認し、長く安定収入を見込みやすい物件を選ぶことが失敗防止につながります。 

購入前には、将来の修繕費や賃料下落余地まで想定して収益性を点検することが大切です。 

将来的な不動産売却(出口戦略)を見据えた流動性の高さ

不動産は保有中の収益だけでなく、将来どの程度売りやすいかまで考えて選ぶことが大切です。 

駅近や都心部など需要の厚いエリアにある物件は買い手がつきやすく、売却時に大幅な値下げを迫られるリスクを抑えやすくなります。 

加えて、築年数、間取り、管理状況、周辺の再開発計画や人口動態も流動性に影響します。 

出口戦略を前提に選ぶことで、現金化しやすく資産価値も守りやすくなるわけです。 

購入時から売却相手を想定しておくことが、失敗しにくい物件選びにつながります。 

投資用の中古物件を探す際にスーモなどの情報サイトの有効性

スーモなどの情報サイトは、中古の投資用物件を探す入口として有効です。 

エリア、価格、築年数、利回りなどの条件で物件を比較しやすく、市場の相場観を養う材料にもなります。 

ただし、掲載情報には更新のタイムラグがあり、成約済みや条件変更後の物件が含まれることもあります。 

そのため、気になる物件は早めに問い合わせ、現地確認や収支精査を行い、不動産会社の説明もあわせて確認することが大切です。 

情報収集の起点として使い、最終判断は一次情報で固める姿勢が重要です。 

宅建などの専門的な不動産資格は資産運用を始める上で必須か?

宅建などの資格は、不動産投資を始める上で必須ではありません。 

売買や賃貸の契約手続きでは、不動産会社の有資格者が重要事項説明などを担当するため、投資家本人が資格を持っていなくても取引は可能です。 

ただし、法律や契約の知識があると、物件選定やリスク確認の精度は高まりやすくなります。 

資格そのものより、仕組みを理解し、信頼できる担当者と連携しながら判断する姿勢が、運用を安定させるうえで重要です。 

学習の有無が、納得感のある投資判断につながるでしょう。 

まとめ:インフレ対策で不動産を選ぶ理由と資産運用のヒント

インフレ対策として不動産を検討する際は、現預金の弱点だけでなく、不動産ならではの強みとリスクをあわせて理解することが欠かせません。 

実物資産として価値を保ちやすい点、家賃収入を得やすい点、ローンの実質負担が相対的に軽くなる可能性は大きな魅力です。 

その一方で、金利変動や空室、修繕費、税負担など、長期運用で無視できない論点もあります。 

だからこそ、立地、需要、流動性、収支計画を丁寧に確認し、自分に合った物件を選ぶ視点が重要となるのです。 

資産防衛を意識した不動産運用の判断材料として、本記事の内容をぜひ今後の検討に役立ててください。 

株式会社マリモは、安定した収益を期待できる立地と長期経営に適した建物にこだわっています。インフレ局面での資産防衛を考えるなら、物件の取得価格だけでなく、将来の修繕費や維持コストの見通しまで含めた比較が欠かせません。建物の耐久性や長期コストを踏まえた物件選びの参考情報として、当社の公式サイトもご活用ください。 

インフレに強い不動産を選ぶ視点として、立地・需要・建物品質・長期収支を組み合わせた判断軸を持つことが、安定した資産運用への近道となるでしょう。 

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不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。

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