
アパート経営は、自宅の近くや住み慣れたエリアに限らず遠くでも行えます。遠方に不動産を所有している場合も同様に、所有する土地や建物を活かして新たな収入源にすることができます。
新たに遠くの土地でアパート経営をする場合、どの程度離れた場所にするのか・地域に土地勘があるか・アパートの購入または新規建築のどちらを選ぶかなどを考えながら検討していきますが、遠方で不動産投資を行うメリットとデメリットも押さえておきましょう。
ここでは、遠方の物件でアパート経営を行う方法について順番に紹介し、気になるメリット・デメリットと成功のためのコツをお伝えします。アパート経営を遠くの土地で行う予定がある方は、ぜひ参考にしてください。
1. 遠方の物件でアパート経営を進める方法
遠方の物件でアパート経営を進める方法について、流れに沿ってみていきましょう。
1.1 不動産会社選びを慎重に行う
不動産会社には、建設会社・ハウスメーカー・工務店・土地活用を専門とする会社などが挙げられます。投資先の土地と同程度に、不動産会社選びも重要です。
アパート経営に強い会社や、遠方での不動産投資をしっかりとサポートしてくれる会社を選びましょう。
次に、経営方法を検討します。空いている土地に新規でアパートを建てる・収益物件として売り出している物件を購入する・賃貸用の建物を不動産会社が一括で借り上げ、賃貸経営業務を代行してもらう「サブリース」から選びます。
不動産会社からは初期費用や収益性を含めたトータルの経営プランを提案してもらえます。1社のみの提案では内容に偏りが出てしまうため、複数の不動産会社やハウスメーカーをあたり、提案を受けましょう。
アパート経営を希望通りにバックアップしてくれるのか、遠方での不動産投資にはどの方法が向いているのかを比較し、ベストな不動産会社を選んでください。
1.2 投資先の環境・プランを選ぶ
次に、アパート経営を行う場所や経営プラン(賃貸事業計画)を検討します。この時点で不動産会社やハウスメーカーが決まっていることが前提です。
土地選びから始める場合は、立地や周辺環境が良い・初期費用が安く抑えられる・人の往来や入れ替えが多く空室リスクが少ない…など、それぞれの土地が持つ魅力やメリットを比較しましょう。
どのような点を重視するかで土地の選び方が変わってきますので、不動産会社などと相談しながら決めていくことをおすすめします。
土地だけの場合は新規でアパートを建築、土地と建物がセットで販売されているものは購入というかたちで経営を行うことになります。経営プランとともに収支計画も作成し、不動産収益が希望通りに得られるかをチェックしてください。
1.3 金融機関で審査・融資を受ける
経営プランに沿って資金計画を立てたあとは、金融機関に相談し融資が受けられるかどうか審査が行われます。
審査に通れば不動産投資にかかる初期費用などを融資してもらえますが、審査に通らなければ計画の練り直しや自己資金を増やしてから再度融資を申し込んでください。
1.4 建物の着工または修繕を行う
資金が用意できたら、いよいよ投資先の建物の建築や修繕に取り掛かります。新設住宅着工の場合、工事が始まった段階から入居者を募集します。
リノベーションやリフォーム物件については、他のアパートにはない強みや魅力を打ち出して入居者を募りましょう。
建物の着工や部屋の修繕が完了したら、入居開始となります。入居者から家賃を受け取り、最初の収益として計上することができます。
2. 遠方の物件でアパート経営をするメリット
ここからは、遠方の物件でアパート経営をするメリットとデメリットをみていきましょう。
2.1 物件価格や初期費用が安い
遠方で不動産投資を行うメリットのひとつは、土地や建物にかかる費用を安く抑えられることにあります。都心部に比べて地方ではコストがかかりにくく、一棟買いでは土地を含めた価格として手頃な価格帯で購入ができる場合もあり、不動産投資に適しています。
2.2 税金を抑えられる
固定資産税は地方自治体によって異なります。東京や大阪などの大都市圏は地価そのものが高額であるため土地の評価額も高くなりますが、地方では評価額が低いために、固定資産税も低額になります。
固定資産税は毎年支払わなければならない税金ですから、空室が増えるほど収入に対する支出がかさんでしまいます。資産減少のリスクもあるなかで、固定資産税の低い地方は都心部に比べて経営を続けやすいメリットがあるのです。
2.3 選択肢が広がる
アパート経営を遠方で行うことにより、投資対象となる選択肢を大幅に増やせます。
たとえば、首都圏では土地価格が高く利回りが低くなる傾向がありますが、地方では割安な価格で質のよい物件を見つけることも可能です。
地元のみで理想的な物件を探そうとするとどうしても選択肢が限られてしまいます。一方で遠方を含めて選択肢が増えれば、それだけ自分の理想や投資スタイルに合ったアパートを探しやすくなるでしょう。
近場の方が情報を収集しやすい面はありますが、近年はインターネットを通じて多くの情報を得られるため、遠方の物件も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
2.4 リスクを分散できる
所有するアパートが一つの地域に集中している場合、地震や経済動向などの影響を集中的に受けてしまう可能性があります。
複数のエリアに物件を分散させておけば、特定のエリアが不調だったり災害の被害を受けたりした場合でもその他のエリアで安定的な収入を確保しやすくなるでしょう。
アパート経営において地震や経済動向などのリスクをゼロにすることはできませんが、異なる地域に複数の物件を持つことはリスクの分散に役立ちます。
2.5 別荘としても活用できる
遠方の物件を保有することで、その地域に出かけた際の別荘として活用できる点もメリットといえます。観光地の近くにあるアパートを選択すれば、自分や家族の別荘代わりとして利用できるので便利に感じるケースがあります。
アパートを一棟所有する場合は、自分用の部屋を残して、その他を賃貸に出す方法もあります。
3. 遠方の物件でアパート経営をするデメリット
遠方の物件でアパート経営を行うことには、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。
3.1 物理的な対応が難しい
遠方にある物件は、直接見に行って状況を確認するだけでも手間がかかります。建物や入居者の状況を把握しづらく、経営状態が見える化しにくいデメリットが考えられます。
不動産会社によるサポートが受けられる場合はそちらを最大限に活用したいところですが、オーナー自身で直接物件を見に行きたいときに、遠方に物件があると何かと不便を感じてしまいます。
3.2 需要減のリスクがある
遠方でアパートを経営する場合、はじめは順調でも時代の変化とともに人の流れが減ったり、災害やその他の理由で活気が失われたりするリスクがあります。
その場合空室リスクとして経営状況を圧迫する可能性があり、あまりにも空室が続くようであれば売却を検討することになるでしょう。
3.3 融資を受けられない可能性がある
遠方の物件を購入するにあたり、融資が受けられない可能性がある点はデメリットの一つといえます。アパートは販売価格が高額ということもあり、多くの方が融資を受けて物件を購入しています。
しかし、融資を行っている金融機関によっては居住地とアパートの住所が近いことを前提としていることもあり、このような条件が設定されている金融機関では融資条件が厳しくなる場合があります。
高い自己資金比率を求められることもあります。経営が難しいと判断された場合、担保評価が低く見積もられるケースもあります。
また、融資を受けたいと考えている金融機関の営業範囲外であるケースでも融資を受けるのは難しくなるでしょう。
ただし、すべての金融機関で遠方の物件取得に関する融資を受け付けていないわけではありません。いくつか金融機関を回ってみるのも一つの方法です。
融資の難易度が高いことを理解したうえで金融機関が納得できるような信頼性の高い物件を選ぶことも重要といえます。
4. 遠方のアパートを経営する際の注意点
遠方のアパート経営では、地元にアパートを所有するのとは異なる注意点がいくつかあります。距離があって直接現地に足を運びにくいからこそ、想定外の事態への対応方法は事前に検討しておくことが大切です。
ここでは、遠方のアパートを経営する際に押さえておきたい注意点を4つ解説します。
4.1注意点①掃除や修繕の計画を立てる必要がある
遠方のアパートの場合、自身で定期的に現地の状態を確認するのが難しいこともあります。そこで注意しなければならないのが、掃除や修繕の必要性に気づくのが遅れてしまう可能性です。
対応が遅れれば入居者からのクレームにつながってしまう可能性もあります。定期的なメンテナンス体制を整え、常に入居者が安心して気持ちよく暮らせる状態を維持しましょう。
アパートは年月の経過とともに少しずつ劣化しますが、初期段階で修繕を行えば費用を抑えられます。信頼できる管理会社に委託する形で建物点検を行っていきましょう。
4.2 注意点②経営状況の変化を見落とす可能性がある
基本的に遠方の物件を持つ場合、管理のほとんどは管理会社に委託する形になるでしょう。しかし、現地を訪れる機会が少ない場合、入居率の変化や家賃相場の下落などに気づくのが遅れてしまうケースがあります。
このような変化を見落とさないようにするためには、定期的に管理会社から報告を受けることが重要です。
現在の入居率や問い合わせ件数などに関して報告を受けましょう。直接確認するのが難しいとしても、データなどを取って経営状況の変化を知ったり、予測したりすることは可能です。
4.3 注意点③地域の環境変化に気づけない可能性がある
地元のアパートであれば地域の環境変化には自然と気づけるほか、情報を収集することも容易です。一方で、遠方のアパートでは、商業施設の閉店や地域の開発計画などに関する情報を十分に把握できない場合があります。
アパート経営を成功させるためには、地域のニーズを汲み取ってそれを反映させていくことが重要です。
ニーズの変化を見落とすと、入居者の減少や賃料の下落につながるおそれがあります。
直接管理会社から話を聞くことも有効です。そのためには、密なコミュニケーションがとれる管理会社を選択しましょう。
また、自身でも自治体の公式サイトやSNSを定期的に確認し、地域の環境変化に関する情報を把握することが欠かせません。
4.4 注意点④トラブルへの対応が遅れる可能性がある
遠方でアパート経営を行ううえでの大きな注意点として挙げられるのが、トラブル対応の遅れです。何か大きなトラブルが発生したとしてもすぐに駆けつけることが難しく、対応が遅れたために事態が悪化してしまう可能性も考えられます。
自分がオーナーとしてそのアパートに住んでいれば、何かあった際にすぐ駆けつけられますが、遠方の物件では入居者や管理会社からの報告によってトラブルが発覚することになるでしょう。
この時、現場を自身で確認できないために事態を正しく把握できない可能性もあります。
トラブルの解決が遅れてしまえば入居者からのクレームにもつながりかねません。
このような事態に備えて、あらかじめ管理会社とトラブル発生時の対応や連絡体制に関する部分をしっかり固めておきましょう。思いがけないトラブルに対する入居者からの不満を抑えるためには、トラブルやクレームへの対応に慣れている管理会社を選ぶことも重要です。
5. 遠方の物件でアパート経営を成功に導くポイント
遠方でアパート経営を成功させるためには、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。
5.1 土地の特徴やリスクを把握する
遠方での不動産経営は、土地の特徴やさまざまなリスクを総合的に比較し、経営プランを慎重に作成する必要があります。
近年ではテレワークやリモートワークに便利な土地が選ばれやすい反面、ハザードマップにリスクの高いエリアとして掲載されている土地は敬遠されやすいため、土地ごとの長所と短所を鑑みて経営判断を行わなければなりません。
5.2 ニーズとターゲットを見極める
賃貸ニーズがどの層にあるのかについては、物件の場所によって異なります。たとえば保育園や学校が立ち並ぶエリアは育児環境として最適であり、ファミリー層に選ばれる傾向にあります。
一方、比較的駅から遠い立地でも格安物件が立ち並ぶ場所は単身者や学生が多く入居する傾向にあり、メインターゲットを決めたうえでアパート経営のイメージ像を描いていくと良いでしょう。
5.3 信頼できる不動産会社に依頼する
ほとんどの場合、遠方でのアパート経営では不動産会社と管理委託契約を結び、その会社に管理業務を任せることになります。
物件内でのクレーム対応やごみ問題、緊急時の対応もすべて不動産会社が担当することになるため、信頼性が高く管理業務を得意としている会社に委託を行いましょう。
6. 遠方にあるアパートの定期チェックが必要な理由
管理会社に管理を任せていたとしても、定期的に自身で足を運び、アパートの状態を確認することは欠かせません。これは、以下の理由によるものです。
6.1物件の問題にいち早く気付くため
現場を訪れて実際にアパートを確認することで、自身の目で見なければわからなかったような問題にもいち早く気付けるようになります。管理会社によっては、小さな劣化や破損を報告しない場合もありますが、自身で現場を確認すればそうした点にも気づけるはずです。
可能であれば半年に1回程度はアパートのチェックに訪れたいところです。その際は自身が所有している物件だけではなく、周囲の環境の変化なども含めてチェックすることをおすすめします。
6.2管理が十分にできていることを確認するため
「管理費を支払っているから完璧に管理してもらえているはず」と考えるのは危険です。中には管理がずさんな会社もあるためです。
定期的にアパートを確認に行くことで、管理会社の業務が適切に行われているか確認できます。アパートの周囲や共用部が清潔に保たれているか、照明が切れていないかなどについて確認しましょう。
管理会社からの報告内容と実際の状況に異なる部分がないか確認することも大切です。
もし、何か気になることがあれば管理会社に連絡することをおすすめします。定期的に確認のために現場を訪れていることを伝えられるので、管理の意識を高めてもらえるでしょう。
7. 信頼できる管理会社を選ぶ際のポイント
遠方のアパート経営を成功させるためには、信頼できる管理会社を選ぶことが重要です。ここでは、管理会社を選ぶ際に注目したい3つのポイントを解説します。
7.1ポイント①管理戸数が豊富な会社を選ぶ
管理会社を選ぶ際に注目したいのが、現在、同程度の戸数を管理しているのかについてです。数多くの戸数を管理している会社は、それだけ実績を積んでいるだけでなく、多くのオーナーから信頼されていると考えられます。
これまでの経験が豊富で、さまざまなトラブルへの対応実績があるため、遠方でも安心して任せられるでしょう。
7.2ポイント②客付け能力が高い会社を選ぶ
遠方にあるアパートを経営する場合、自ら現地で営業活動を行うのは難しいといえます。そこで、効果的な集客が可能で客付け能力が高い会社を選ぶようにしましょう。
安定的に収入を得ていくためには空室を作らないことが重要なため、これは非常に重要なポイントです。
7.3ポイント③幅広い業務に対応している会社を選ぶ
管理会社によってどのような業務に対応しているかが大きく変わります。遠方のアパート管理を任せるのであれば、一部分の業務しか任せられない会社よりも、幅広い業務に対応している会社を選ぶとよいでしょう。
入居者の募集に関することはもちろん、建物のメンテナンスやリフォームの提案まで総合的に行っている会社を選ぶことで、オーナーとしての負担を大幅に減らせます。
各業務を個別に他の業者に依頼する必要もなくなるので、手間を抑えて遠方のアパートを管理したい方にとって、特に重視すべきポイントといえます。
8. 自宅から離れた物件の選択も選択肢へ
いかがでしたか?アパート経営は自宅からアクセスしやすい近隣だけではなく、維持管理にかかるコストを抑えられる遠方を選ぶことも可能です。
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この記事の監修
マリモ賃貸住宅事業本部
不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。
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