

安定した副収入を得ることや将来に向けた資産形成などを目的に、アパート経営を考えている会社員の方もいるのではないでしょうか。
アパート経営は融資面での優遇や税金対策、運営効率化なども期待でき、会社員にとって多くの魅力があります。
本記事では、会社員がアパート経営を始めるメリットや具体的なステップについて、詳しく解説していきます。
会社員がアパート経営に関心を持つ背景には、どのようなものがあるのでしょうか。
以下では、具体的な理由と始めやすさについて見ていきます
アパート経営には多額の資金が必要と思われがちですが、自己資金300万円程度から始められるケースもあります。
自己資金を頭金として活用し、不足分を金融機関の融資で補うことで無理なくスタートできます。
特に中古物件や価格帯を抑えたエリアを選定すれば、初期投資を抑えつつ収益性を確保しやすくなるでしょう。
資金配分や物件選びを工夫することが、少額スタートを成功させる重要なポイントとなります。
会社員がアパート経営を継続するうえで重要なのが、管理業務の効率化です。
入居者対応や家賃管理、設備トラブルなどをすべて自分で行うと本業との両立が難しくなりますが、不動産管理会社に業務を委託すれば、運営の手間を大幅に削減できます。
専門知識を持つプロが対応することで、トラブル時も迅速かつ適切に対処でき、安定した経営体制を構築できます。
就業規則で副業が禁止されている会社でも、アパート経営を始めたからといって、直ちに規則違反になるとは限りません。
副業に該当するかどうかは勤務先の就業規則や働き方によって判断が異なり、公務員には別途基準が設けられています。
ここでは、アパート経営を検討する際に確認しておきたい就業規則のポイントや公務員の基準、住民税から勤務先に知られる可能性について解説します。
アパート経営を検討する際は、まず勤務先の就業規則で副業がどのように定められているかを確認します。
「他社に雇用されること」のみを禁止している場合と、報酬を得る活動全般を対象としている場合では、アパート経営の扱いも異なります。
また、届出制や許可制が設けられている場合は、必要な手続きを事前に確認しておきましょう。
不動産賃貸や相続で取得した物件について、例外規定を設けている会社もあります。
国家公務員のアパート経営については、人事院規則14-8の運用通知で「自営」に該当する基準が示されています。
不動産賃貸では、独立家屋が5棟以上、独立家屋以外の建物が10室以上、土地の賃貸契約が10件以上の場合などが対象です。
また、賃貸料収入が年額1,000万円以上の場合も自営に該当します。
ただし、これらの基準に当てはまっても、直ちに経営できなくなるわけではありません。
管理業務を事業者に委託するなど、職務の遂行に支障がないと認められれば、承認を受けて経営できる場合があります。
出典:人事院「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」
アパート経営が就業規則に抵触しない場合でも、勤務先に知られたくない場合は住民税の扱いにも注意が必要です。
会社員の住民税は原則として給与から天引きされるため、不動産所得によって税額が増えると、勤務先が給与以外の所得に気づく可能性も否定できません。
なお、確定申告では給与以外の所得にかかる住民税について、徴収方法を選べるケースもあります。
会社員がアパート経営を行うことは、決して特殊な選択ではありません。
国土交通省が家主414名を対象に行った調査によると、家主の主な職業は「会社員」が40.6%で最も多く、次いで「専業主婦(主夫)」12.1%、「無職」10.9%、「会社経営・役員」10.4%と続いており、公務員も3.9%を占めていました。
また、所有規模を見ると、「1戸」が33.3%、「2〜10戸」が43.0%で、全体の8割近くが10戸以下でした。
大規模に展開している人よりも、小さく始めて続けている人のほうが多いことが分かります。
さらに、管理業務についても、多くが外部に委託しています。
同じ調査では、賃料等の集金は64.9%、賃貸借契約の更新は79.1%、入居時の契約支援は81.0%が業者への委託でした。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」
アパート経営を成功させるためには、段階的な手順を理解することが欠かせません。
ここでは、アパート経営を始める際に押さえておくべき基本ステップを解説していきます。
資金計画は、アパート経営の成否を左右する最も重要な工程です。
まずは自己資金の額を把握し、物件購入費用や諸経費、修繕費などを含めた全体像を整理します。
金融機関の融資を前提とする場合は、返済額と家賃収入のバランスを事前に確認することが不可欠です。
将来的な空室や金利変動も想定したうえで、余裕を持った計画を立てることが安定経営につながります。
アパート経営を成功させるためには、地域の不動産市場を理解することも不可欠です。
「どのエリアが人気か」「家賃相場はどうか」などの情報を調べることで、物件選びの方向性が決まります。
加えて、競合物件の状況や空室率を確認することで、自分の物件に必要な改善点や差別化ポイントを見つけられます。
インターネットや不動産会社を活用して最新の市場情報を集め、適切な家賃設定やターゲット層を絞り込みましょう。
物件購入の申し込みを行う際には、物件の詳細情報をしっかりと確認しましょう。
立地や周辺環境、交通の便など、長期的に価値が保たれるかどうかを調査することが重要です。
また、物件の価格や条件を確認し、予算に合うかを再度チェックし、価格交渉が可能なら積極的に行います。
申し込み時には、身分証明書や収入証明書、資金計画書などの必要書類を整え、不動産会社に提出します。
融資相談を行う際には、事前に銀行が求める書類を整えることが大切です。
収入証明書や物件の詳細資料、資金計画書などを準備しましょう。
担当者との面談では、融資条件や金利について詳しく話し合い、自分の経営計画を明確に伝えることが重要です。
複数の銀行を比較し、最適な融資条件を見つけることが成功のカギです。
売買契約を締結する際には、物件の詳細や価格、引き渡し条件を慎重に確認することが求められます。
契約書の内容が難しいと感じることもありますが、不動産会社や弁護士などの専門家のサポートを受けることで安心して進められます。
契約時には手付金の支払いが必要になることが多く、慎重に判断することが重要です。
アパート経営を成功させるためには、管理会社の選定は欠かせません。
管理会社は、入居者募集や家賃回収、建物のメンテナンスなど、多くの業務を代行します。
運営をスムーズに進めるためにも、実績や口コミ、費用、サービス内容などを確認し、複数社を比較検討することが大切です。
アパートの引き渡し時には、内見を行い、設備や内装に問題がないか、契約内容と一致しているかを確認しましょう。
加えて登記簿謄本や保証書、取扱説明書など、今後の管理に必要な書類もしっかりとチェックしたいところです。
引き渡し後は、管理会社と連携して運営準備を進め、空室期間を短縮させ、収益の安定化を図ります。
会社員がアパート経営を行うことで得られる利点は、副収入の確保や税負担の軽減、資産形成など多方面に及びます。
では、以下でメリットの具体的な内容を見ていきましょう。
アパート経営による家賃収入は、毎月安定して得られる副収入として家計を支える存在になります。
仮に月10万円の副収入があれば、年間では大きな金額となり、生活の選択肢にも余裕が生まれます。
また、突発的な出費や将来の不測の事態に備えられる点も安心材料です。
アパート経営は、会社員にとって有効な税金対策になり得ます。
修繕費や管理費、減価償却費など、経費として計上できる項目が多く、課税所得を抑えやすいためです。
これにより、給与所得と合算された場合でも、税負担の増加を緩和できます。
さらに、不動産は相続時の評価額が現金より低くなるケースがあり、将来の相続税対策としても活用可能です。
会社員がアパート経営で銀行融資を受けやすい理由は、収入の安定性にあります。
給与収入に加えて賃料収入が見込めることで、返済能力が高く評価されやすくなります。
また、不動産そのものが担保となるため、金融機関にとって貸し倒れリスクが低い点も要因です。
加えて、低金利環境下では銀行側も融資に積極的な傾向があります。
アパート経営には多くの利点がある一方で、空室や金利上昇、老朽化といったリスクも存在します。
こうしたリスクを把握せずに始めてしまうと、想定外の負担を抱える可能性があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
関連記事:アパート経営のリスクとは?失敗事例から学ぶ12の対策と回避法
初期費用を抑えることは、アパート経営のリスク軽減につながります。
中古物件を選択することで購入価格を抑えつつ、高い利回りを狙える場合があります。
また、自己資金を抑え、融資を上手に活用することで資金効率を高めることも可能です。
リノベーション済み物件を選べば、大規模な改修費用を抑えながら入居付けを行えます。
建物の老朽化は、空室増加や修繕費の増大につながる要因です。
そのため、定期的な点検と計画的なメンテナンスが欠かせません。
外壁や屋根、給排水設備などは劣化しやすいため、早期対応が結果的にコスト削減につながります。
また、内装や共用部のリフレッシュは入居者満足度の向上にも効果的です。
金利上昇は返済額に直接影響するため、事前の備えが重要です。
固定金利ローンを選択すれば、将来の返済額を安定させることができます。
加えて、余裕資金を確保しておくことで金利上昇時の負担増にも対応しやすくなります。
空室リスクを抑えるうえで、立地選びは最も重要な要素です。
人口動態や交通利便性、周辺施設の充実度は需要に直結します。
特に大学や企業が集まるエリアは、安定した賃貸需要が見込めます。
また、地域特性や将来性を把握するため、不動産会社の情報も参考になります。
売却時のリスクを抑えるには、市場動向の把握が欠かせません。
不動産価格は景気や金利の影響を受けるため、タイミングの見極めが重要です。
また、事前に修繕や清掃を行い、物件価値を高めておくことも効果的です。
信頼できる不動産会社と連携することで、条件交渉もスムーズに進みます。
会社員は本業と並行してアパートを経営するため、物件の状況確認や資金管理に十分な時間をかけにくい傾向があります。
その結果、修繕や空室への対応が遅れ、収支が悪化するケースも少なくありません。
ここでは、会社員が特に注意したい3つの失敗例を紹介します。
家賃収入を返済や生活費に充てすぎると、将来の修繕に必要な資金を確保できなくなるおそれがあります。
特に、屋根や外壁などは定期的な修繕が必要になり、まとまった費用が発生することもあります。
また、資金不足によって修繕を先送りすると建物の劣化が進み、入居者からの苦情や退去につながりかねません。
こうした事態を避けるためにも、家賃収入の一部を修繕費としてあらかじめ積み立てておくと安心です。
営業担当者から提示された収支計画だけを見て購入を決めると、実際の賃貸需要とのずれに気づけない場合があります。
本業が忙しいほど現地調査や周辺物件の確認を省きやすくなりますが、想定家賃が相場より高ければ、計画通りに入居者を集めることは難しくなります。
そのため、購入前には現地の環境に加え、周辺物件の家賃や設備、空室状況なども確認し、収支計画に無理がないかを見極めましょう。
管理会社へ業務を委託していても、物件の状況まで完全に把握してもらえるとは限りません。
収支報告や修繕履歴を定期的に確認していれば、退去の増加や修繕頻度の変化など、収益悪化につながる兆候を早めに把握できます。
なお、必要に応じて現地にも足を運び、共用部や建物の状態を確認するなど、オーナー自身が状況を把握する姿勢も求められます。
アパート経営では、適切な節税対策を行うことで手取り収益を高められますし、将来を見据えた相続対策としても不動産は有効に機能します。
ここでは代表的な節税方法を紹介します。
経費計上と減価償却は、不動産経営における基本的な節税手法です。
管理費や修繕費、広告費などは経費として認められ、課税所得を減らせます。
減価償却を行えば、建物や設備の取得費用を複数年に分けて計上できます。
不動産は相続税対策としても有効な資産です。
土地や建物は現金より評価額が低く算定されることが多く、税負担軽減につながります。
賃貸物件の場合は借家権控除が適用されるため、相続時の評価額をさらに下げることが可能です。
給与所得者であっても、不動産所得がある場合は自分で確定申告を行う必要があります。押さえておきたい点を3つ挙げます。
国税庁によれば、55万円の青色申告特別控除の要件は、不動産所得を生ずべき事業を営んでいること、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること、貸借対照表と損益計算書を添付して翌年3月15日の期限までに申告することです。
この要件を満たしたうえで、電子帳簿保存を行うか、e-Taxで申告書等を提出すると、控除額は65万円になります。要件に該当しない場合の控除額は10万円です。
なお、ここでいう「事業」に当たるかどうかは、アパートであればおおむね10室以上、独立家屋であればおおむね5棟以上という基準で判定されます。
不動産所得が赤字になった場合、給与所得と損益通算することで所得税の還付を受けられる可能性があります。
ただし、年末調整では不動産所得は精算されません。会社が把握しているのは給与だけだからです。還付を受けるには、必ず自分で確定申告を行う必要があります。
また、損益通算には例外があります。国税庁によれば、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の損失は、損益通算の対象になりません。
確定申告の時期は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。青色申告特別控除を受ける場合は、この期限内に提出しなければ適用されません。
用意しておく書類は、家賃の入金がわかる通帳、管理会社からの収支報告書、ローンの年末残高がわかる書類、固定資産税の納税通知書、火災保険の証券、修繕の請求書などです。
年明けにまとめて集めようとすると漏れが出ます。月ごとにファイルへ入れておくだけで、申告の負担は大きく減ります。
アパート経営は会社員にとって魅力的な副収入の手段であり、資産形成や税負担軽減に繋がるメリットがあります。
しかし、成功するためには計画的に行動することが重要です。
資金計画や物件選定、市場調査などの基本ステップを踏むことで、リスクを抑えながら安定した収益を得ることが可能となります。
アパート経営を始めるための具体的なステップを順を追って理解し、しっかりと準備を行うことで成功に近づきます。
株式会社マリモは、安定した収益を期待できる立地と長期経営に適した建物にこだわっています。
物件の選択で悩みの方は、弊社の木造アパート経営の情報はこちらからご確認ください。
この記事の監修
マリモ賃貸住宅事業本部
不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。
26.08.31
アパート経営の効果的な防犯対策は? 入居率アップにつながる対策と防犯カメラ
近年、アパートなどの賃貸物件を探す際に、セキュリティ面を重視する人が増えています。 どれほど気に入った物件でも、セキュリティに不安を感じる場合、候補から外す人も一定数います。 アパート経営においては、防犯対策を行うことで、居住者の安全を守り、さらに入居率を上げる効果も得られます。 アパートの空室対策にも効果的な「防犯対策」について、具体的な対策法や得られるメリットなどを詳しく解説します。 ぜひ効果的な防犯対策の参考にしてください。
26.03.22
アパート経営とは? 基本的な知識や概要について徹底解説!
アパート経営を始めてみたいと思っていても、そもそも何から始めればよいのかわからないという方もいるでしょう。 アパート経営には投資としての考え方や、さまざまなリスクを想定した綿密な準備や計画が必要です。 そこで本記事では、アパート経営における基本的な知識や概要を解説していきます。 アパート経営を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
24.04.25
アパート経営にかかる消費税とは? 課税取引と非課税取引の違い
「家賃は非課税と聞いたけど本当だろうか?」「なぜ事務所だと消費税がかかるの?」このような疑問をお持ちのアパートオーナー様は多くいらっしゃいます。 アパート経営に関する税金のなかで「消費税」の扱いは特に重要です。非課税取引である家賃収入と、課税対象となる売上が混在するケースが多いので非常に分かりにくい部分だからです。 本記事ではアパート経営にかかる消費税の概要や納付時期、消費税還付などについて解説しています。消費税の制度について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。