最近、アパートを建てることを考えているけれど、「建築基準法に違反していないか心配」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アパートを建てる際は、建築基準法や都市計画法のルールを理解したうえで計画を進めることが必要です。

この記事で、アパート建築で押さえたい建築基準法の基本と、計画前に確認すべきポイントを解説します。
法律に則った建物は、住む人にとっても安心材料になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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アパートが共同住宅として扱われるケース

アパートは、建築基準法上「共同住宅」として扱われる建物です。
複数の住戸が同じ建物内にあるため、一般的な住宅とは異なる防火、避難、採光、換気などの基準が関係します。

ここでは、建築基準法における共同住宅としての位置づけや長屋との違いを整理します。

建築基準法におけるアパートの定義

一般に、共用廊下や階段を通じて各住戸へ出入りする形式の住宅は、共同住宅として扱われます。アパートはこうした形態の代表例です。

一方で、一戸建てとは利用形態が異なるため、防火、避難、採光、換気などの基準を踏まえた計画が必須です。
アパートを建てる際は、建物の用途が共同住宅に当たるかを確認し、設計の初期段階から法令に沿って進めることで、確認不足による計画変更も避けやすくなります。

特殊建築物としての位置づけ

共同住宅は規模等により、建築基準法上の特殊建築物として各種規制や手続きの対象となることがあります。

特殊建築物とは、多くの人が利用したり、火災時の避難に配慮が必要だったりする建物を指します。
そのため、用途や規模に応じて、防火、避難、内装などの基準が関係します。

また、すべての規制が一律に重くなるわけではありませんが、一般的な住宅より確認すべき項目は増えやすいため、計画段階で条件を整理し、必要な手続きや仕様を早めに把握しておくことが大切です。

長屋(テラスハウス)との明確な違い

アパートと長屋は、複数の住戸がある点では似ていますが、建物の構造や出入口の考え方が異なります。
アパートは、共用廊下や階段を通じて各住戸へ出入りする共同住宅として扱われるのが一般的です。

一方で、長屋は各住戸が壁を共有しながら横に連なり、それぞれが外部へ直接出入りできる形が多く見られます。
この違いによって、避難経路、防火、敷地利用の考え方も変わるため、名称ではなく建物の実態で判断し、計画に合う用途や規制を確認することが大切です。

アパート建築における「用途地域」の制限

アパートを建てる際は、土地がどの用途地域にあるかを事前に確認する必要があります。
用途地域によって建てられる建物の種類や規模が変わり、住宅が制限される地域もあるためです。

ここでは、アパート建築における用途地域の都市計画法との関係や自治体条例の調べ方を解説します。

都市計画法と用途地域の関係性

用途地域は、都市計画法に基づいて土地の使い方を区分する制度です。
住宅地、商業地、工業地などの地域ごとに、建てられる建物の用途や規模が定められています。
アパートを建てる場合は、まず対象地がどの用途地域に該当し、共同住宅の建築が認められるかの確認が必須です。

また、用途地域は自治体の都市計画情報や窓口で調べられます。
土地購入や設計に進む前に確認しておくと、計画の手戻りを防ぎやすくなり、建築可能な規模も見通しやすくなります。

アパートを建築できない工業系の地域

工業系の用途地域では、アパート建築に制限がかかる場合があります。
特に工業専用地域は、工業の利便を優先する地域であり、住宅や共同住宅の建築は原則として認められていません。

一方で、工業地域では住宅を建てられる場合もありますが、騒音や振動、交通量などが居住環境に影響する可能性があります。
用途地域だけで判断せず、自治体の建築指導課や都市計画課で、対象地の制限を具体的に確認し、住環境や入居需要も含めて判断しましょう。

自治体ごとの独自条例を調べる方法

アパート建築では、建築基準法や都市計画法だけでなく、自治体ごとの条例も確認する必要があります。
まずは自治体の公式サイトで、建築指導課や都市計画課が公開している条例、地区計画、開発指導要綱などを調べましょう。
また、内容が分かりにくい場合は、窓口や電話で対象地の住所を伝え、建築制限や必要な手続きを確認してみてください。

さらに、建築士や不動産会社にも相談すれば、条例の読み違いや手続き漏れを防ぎやすくなり、建築計画を現実的に進めやすくなります。

アパートの規模を決める「建ぺい率」と「容積率」

アパートの大きさは、敷地面積だけで自由に決められるものではありません。
また、建ぺい率と容積率によって、建築面積や延床面積の上限が決まります。

ここでは、建築可否だけでなく、戸数や階数、収益計画にも関わる2つの基準を整理します。

敷地に対する建築面積の割合「建ぺい率」

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を示す基準です。
たとえば建ぺい率60%の土地では、100平方メートルの敷地に対して、原則として建築面積は60平方メートルまでとなります。

この基準は、敷地内に一定の空地を確保し、防火、採光、通風などを保つ目的で設けられています。

なお建ぺい率は用途地域や防火地域の指定などにより変動するほか、防火地域内の耐火建築物による緩和や角地緩和などの例外規定が設けられている場合もあります。そのため、対象地の条件や緩和の適用可否については、自治体や建築士へ確認しながら設計を進めることが重要です。

延床面積の上限を定める「容積率」

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合を示す基準です。
たとえば敷地面積100平方メートル、容積率200%の場合、原則として延床面積の上限は200平方メートルになります。

また、容積率は、土地の利用密度や周辺環境、道路やインフラへの負荷を調整するために設けられています。
さらに、アパートでは戸数や階数、共用部分の計画にも影響するため、建ぺい率とあわせて早い段階で確認し、想定する戸数や収益計画と無理なく整合させることが欠かせません。

アパートの「接道義務」と「高さ・斜線制限」

アパート建築では、敷地と道路の関係や建物の高さにも法的な制限があります。
また、接道義務を満たさない土地では建築できない場合があり、斜線制限や日影規制も設計に影響します。

ここでは、計画前にアパートの「接道義務」と「高さ・斜線制限」における確認すべき代表的なルールを解説します。

敷地と道路が接する「接道義務」のルール

接道義務とは、建築物の敷地が建築基準法上の道路に原則として2メートル以上接していなければならないというルールです。
これは、避難経路や緊急車両の通行を確保するための基準になります。

一方で、第42条2項道路は、幅員4メートル未満の道のうち、一定の要件を満たし特定行政庁が指定した、建築基準法上の道路とみなされる道路です。
また、接道条件を満たさない土地や、幅員4メートル未満の道路に接する場合には、セットバック(道路後退)が必要となるケースがあります。

接道条件を満たさない土地では建築確認が下りない可能性もあるため、道路の種類や幅員、接道長さについて自治体で確認し、必要に応じてセットバックの有無も含めて計画を進めることが重要です。

周辺の日照や住環境を守る「斜線制限」と「日影規制」

斜線制限と日影規制は、周辺の採光や通風、住環境を守るために設けられた高さに関する規制です。
斜線制限には、道路斜線、隣地斜線、北側斜線などがあり、敷地の位置や用途地域によって適用内容が変わります。

一方で、日影規制は、一定規模以上の建物が周辺に長時間の影を落とさないようにする制度です。
さらに、アパートの階数や屋根形状、配置にも影響します。
設計初期から収益性と法規制の両面で検討し、周辺環境とのバランスを取る必要があります。

建物の高さを抑制する「絶対高さ制限」

絶対高さ制限とは、建物の高さそのものに上限を設ける規制です。
主に低層住宅地などで、周辺の住環境や街並みを守る目的で適用されます。
代表的には10メートルまたは12メートルの高さ制限が設定される地域があり、アパートの階数や屋根形状に直接影響してきます。

また、斜線制限とは別に確認が必要なため、対象地の用途地域や高度地区の指定を踏まえて、無理のない建築計画を立て、想定する階数や戸数が実現できるかを確認することが大切です。

アパートに求められる「耐火性能」と「内装制限」

アパート建築では、火災時の被害を抑え、入居者が安全に避難できる建物にすることが求められます。
そのため、建物の構造や材料に関する耐火性能だけでなく、廊下や階段などの内装材にも基準が関係します。

ここでは、アパートに求められる「耐火性能」と「内装制限」にて防火面で確認したい主な規定を解説します。

火災から入居者を守る「耐火建築物」の基準

耐火建築物とは、火災が起きた際に主要な構造部分が一定時間倒壊や延焼を防げるように計画された建物です。
共同住宅であるアパートでは、階数や延床面積、立地条件によって、耐火建築物や準耐火建築物などの性能が求められる場合があります。

また、壁、柱、床、屋根などに使う材料や構造が基準を満たしていないと、建築計画そのものを見直す必要が出てきます。
火災時の避難時間を確保するためにも、設計段階で必要な性能を確認することが欠かせません。

安全な避難経路を確保する「内装制限」

内装制限は、火災時に炎や煙の広がりを抑え、入居者が避難しやすい状態を保つための規定です。
アパートでは、建物の用途や規模に応じて、廊下、階段、居室などに使える内装材が制限される場合があります。

特に、避難経路に燃えやすい材料を使うと、火災時に通行しにくくなり、被害が広がるおそれがあります。
また、内装材を選ぶ際は、デザインや費用だけでなく、不燃材料や準不燃材料などの性能を確認し、避難計画と一体で考えることが大切です。

居室の採光や換気に関する単体規定

アパートの居室には、入居者が日常的に過ごせる環境を保つために、採光や換気に関する基準があります。

採光では、居室の床面積に対して一定割合以上の窓などを設ける必要があり、自然光を取り入れられる計画が求められます。
なお、有効採光面積の算定は設計条件によって変わるため、設計段階で建築士による確認が必要です。

また、換気についても、窓や換気設備によって外気を取り入れ、湿気やにおいがこもりにくい状態にすることが必要です。こちらも換気設備の仕様や有効換気量の考え方を含め、設計時に確認しておくことが重要です。

さらに、間取りや窓の位置によって基準への適合が変わるため、居室として使う部屋は設計時点で確認しておきましょう。

アパート建築で確認したい「確認申請」と「定期報告」

アパートを建てる際は、着工前の建築確認申請を通じて、計画が法令に適合しているかを確認します。
完成後も、建物の用途や規模によっては定期報告の対象となる場合があります。

ここでは、建築前後に必要となる「確認申請」と「定期報告」の代表的な手続きを整理します。

着工前に必ず行う「建築確認申請」の手続き

建築確認申請は、アパートの計画が建築基準法や関係法令に適合しているかを、着工前に確認してもらう手続きです。
設計図書、構造関係の資料、敷地や道路に関する情報などを、自治体または指定確認検査機関へ提出します。
この審査で問題がなければ確認済証が交付され、原則としてその後に工事へ進めます。

一方で、申請内容に不備があると計画の修正や着工時期の遅れにつながるため、設計段階から必要書類や地域の条例を確認して進めることがポイントです。

建物の安全性を維持する「定期報告」の義務

定期報告は、一定の建築物や建築設備について、劣化や不具合がないかを定期的に調査し、行政へ報告する制度です。
また、アパートが対象になるかどうかは、用途、規模、階数、自治体の指定内容によって異なります。

さらに、対象となる場合は、建築士などの有資格者が建物の外壁、避難経路、防火設備、非常用設備などを確認し、結果を報告します。
建築後も安全性を維持しながら運営するためには、対象要件と報告時期を管理し、必要な修繕へ早めにつなげることが大切です。

まとめ:アパート建築基準法の理解を深めよう

アパートの建築基準法は、住む人々の安全と快適さを守るための重要な法律です。

建築基準法に適合した計画を行うことで、住みやすい住環境の実現につながります。
今後、アパートの建設を検討している方は自治体の都市計画情報や建築関連の規制を確認してみてください。

また具体的な行動としては、建築士などの専門家と条件を整理することで、法令に沿った現実的なアパート建築を進めやすくなります。
さらに、法令適合を前提に、立地や間取り、設備、管理計画まで含めて検討することで、入居者に選ばれやすい住環境を目指すことができます。

法律を理解し適切な計画を立てることで、将来の収益性だけでなく、安心して暮らせる住環境の実現にもつながります。
法規制の確認に加え、立地選定・生活動線・設備仕様・長期修繕まで見て選ぶことが重要です。

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