アパートを家族へ引き継ぐ際、生前贈与と相続のどちらを選ぶべきか迷う方は少なくありません。

生前贈与は、家賃収入を早めに次世代へ移せる一方で、贈与税や不動産取得税、登録免許税などの負担が発生する場合があります。

相続では小規模宅地等の特例を使える可能性もあり、単純にどちらが得とは言い切れません。

もし、判断を誤ると、節税のつもりが負担増につながることもあります。

この記事では、アパート経営の生前贈与で活用できる制度やメリット、注意点、評価額の計算方法、手続きの流れをわかりやすく解説します。

不安や疑問を感じている方も、この記事を読むことで今後の資産管理や家族への思いやりに自信を持てるようになるでしょう。

この記事の監修

マリモ賃貸住宅事業本部

不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。

コンテンツ制作ポリシー 会社概要

アパートを引き継ぐなら生前贈与と相続どちらがお得?

アパートを家族へ引き継ぐ方法には、生前贈与と相続があります。 

どちらが有利かは、評価額や家族構成、家賃収入の扱い、使える特例によって変わります。 

ここでは、生前贈与と相続の違いを整理し、判断しやすいケースを見ていきましょう。 

賃貸アパートの生前贈与が適しているケース

賃貸アパートの生前贈与は、特定の子供や孫へ早めに資産を移したい場合に検討しやすい方法です。 

贈与後は受贈者が所有者となるため、家賃収入も次世代へ移せます。 

相続時の遺産分割をめぐるトラブルを避けたい場合にも有効でしょう。 

一方で、贈与税や不動産取得税、登録免許税などの費用が発生する可能性があります。 

将来の相続税対策だけでなく、贈与後の収支や家族の生活設計まで含めて判断することが大切です。 

そのまま相続で引き継ぐ方が有利になるケース

アパートをそのまま相続で引き継ぐ方が有利になるのは、相続税の特例を使える場合や、贈与時の諸費用を避けたい場合です。 

相続では贈与税がかからず、不動産取得税も原則として発生しません。 

また、要件を満たせば小規模宅地等の特例により、土地の評価額を抑えられる可能性があります。 

これはアパートの土地評価額を最大80%減額できる特例で、相続税の負担を大きく減らせる点が特徴です。 

親世代が引き続き家賃収入を生活費に充てたい場合も、無理に生前贈与を進める必要はありません。 

税負担と家族の事情をあわせて比較することが大切です。 

アパートの生前贈与で活用すべき2つの非課税制度

アパートを生前贈与する際は、贈与税の仕組みを理解しておくことが大切です。 

代表的な制度には、暦年課税の基礎控除と相続時精算課税制度があります。 

ここでは、それぞれの特徴と使い分けの考え方を解説します。

年間110万円の基礎控除が使える「暦年課税」

暦年課税は、1年間に受けた贈与額から基礎控除110万円を差し引き、残りに贈与税がかかる仕組みです。 

少額ずつ時間をかけて財産を移したい場合に使いやすく、アパートの持分を分けて贈与する方法として検討されます。 

ただし、不動産の持分贈与では登記費用や管理上の手間も発生します。 

また、贈与の内容によっては申告が必要になるため、契約書の作成や記録の保管も欠かせません。

2500万円まで非課税の「相続時精算課税制度」

相続時精算課税制度は、一定の要件を満たす贈与について、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。 

この制度は、まとまった財産を一度に子や孫へ移したい場合に検討されます。 

ただし、贈与した財産は将来の相続時に相続財産へ加算され、相続税の計算対象になります。 

贈与時の負担を抑えられる一方、最終的な税負担が完全になくなる制度ではありません。 

アパートの評価額や将来の相続税まで見通したうえで判断することが大切です。

アパートの不動産贈与でおすすめなのはどちら? 

アパートの生前贈与で暦年課税と相続時精算課税制度のどちらが適しているかは、贈与額や家族構成、将来の相続税によって変わります。 

少額ずつ計画的に移したい場合は暦年課税、まとまった財産を早く移したい場合は相続時精算課税制度が候補になります。 

ただし、不動産は評価額や登記費用、贈与後の収益管理も関わるため、単純に非課税枠だけで判断するのは危険です。 

税理士などに相談し、全体の負担を比較するとよいでしょう。

賃貸アパートを生前贈与する4つのメリット

賃貸アパートを生前贈与することで、相続対策や家族への資産移転がより柔軟かつ有利に進められるメリットがあります。 

生前贈与は、将来の相続税や贈与税の負担を計画的に抑えることができるため、資産を守りながら次世代へ確実に引き継ぎたい方にとって非常に有効な方法です。 

ここでは、賃貸アパートを生前贈与するメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

将来の相続税評価額を低く抑えて節税できる 

賃貸アパートは、土地や建物の評価方法により、現金より相続税評価額が低くなる場合があります。 

貸家や貸家建付地として評価されることで、権利関係が反映され、課税対象となる評価額を抑えられる可能性があるためです。 

生前贈与を活用すれば、将来の値上がり分を早めに次世代へ移せるケースもあります。 

ただし、贈与税や不動産取得税などが発生するため、必ず節税になるとは限りません。 

相続時の特例も含めて比較することが大切です。

贈与後の家賃収入を子供や孫に移転できる 

アパートを生前贈与すると、贈与後の家賃収入を子供や孫へ移転できます。 

所有者が変わることで、賃貸経営による収入も受贈者に帰属するためです。 

次世代の生活資金や資産形成を早めに支えたい場合には、実用的な方法になるでしょう。 

一方で、贈与者はその家賃収入を受け取れなくなるため、老後資金への影響も考える必要があります。 

贈与後の管理体制や収支の流れを事前に整理しておくことが大切です。

不動産所得の分散により毎年の所得税を軽減可能

アパートの持分を子供や孫に贈与すると、不動産所得を分散できる場合があります。 

日本の所得税は累進課税のため、家賃収入が一人に集中している場合より、所得が分かれた方が全体の税負担を抑えられるケースがあるためです。 

ただし、受贈者にも所得税や住民税の申告が必要になる場合があり、扶養や社会保険への影響にも注意が必要です。 

形式だけの贈与では税務上問題になるおそれもあるため、実態に合った管理と記録が欠かせません。

特定の後継者にアパートを確実に譲ることができる

特定の後継者にアパートを引き継がせたい場合、生前贈与は有効な方法の1つです。 

生前に贈与契約を結び、名義変更まで済ませておけば、誰が所有するかを明確にできます。 

相続時の遺産分割協議を避けやすく、アパート経営を継ぐ人を早めに決められる点もメリットです。 

ただし、他の相続人との公平性や遺留分への配慮を欠くと、後のトラブルにつながる可能性があります。 

家族間で十分に話し合い、必要に応じて専門家に確認することが大切です。 

<h2>アパート生前贈与のデメリットと失敗を防ぐ注意点</h2> 

アパートの生前贈与にはメリットがある一方で、税金や諸費用、相続時の特例、家族間トラブルなどに注意が必要です。 

判断を誤ると、相続より負担が大きくなる場合もあります。 

ここでは、失敗を防ぐための注意点を解説します。

敷金やローン残債による「負担付贈与」の罠

アパートにローン残債や敷金返還義務がある状態で贈与すると、負担付贈与として扱われる場合があります。 

負担付贈与では、受贈者が不動産だけでなく、借入金や入居者への返還義務も引き継ぐため、通常の贈与より税務上の扱いが複雑になります。 

内容によっては贈与税だけでなく、譲渡所得の課税が関係することもあるため注意が必要です。 

贈与前には、ローンや敷金の状況を整理し、税理士などに確認しておくと安心です。

相続時よりも不動産取得税などの諸費用が高い

生前贈与でアパートを引き継ぐ場合、相続よりも諸費用が高くなることがあります。 

贈与では不動産取得税がかかるほか、名義変更時の登録免許税も相続より負担が大きくなりやすいです。 

土地や建物の評価額が高いほど、現金で用意すべき費用も増えます。 

また、節税目的で贈与を選んでも、諸費用を含めると想定より負担が重くなる場合があるでしょう。 

事前に税金と手続き費用を試算し、資金計画に無理がないか確認することが大切です。

相続税の「小規模宅地等の特例」が使えない可能性

アパートを生前贈与すると、相続時に使える可能性があった小規模宅地等の特例を受けられない場合があります。 

この特例は、一定の要件を満たす土地について相続税評価額を大きく下げられる制度です。 

生前贈与では原則として相続時の特例とは扱いが異なるため、贈与したことで結果的に税負担が増えることもあります。 

特例を使える可能性がある土地では、生前贈与と相続のどちらが有利かを事前に比較することが欠かせません。

兄弟間の不公平感による遺留分トラブルのリスク

アパートを特定の子供へ生前贈与すると、他の兄弟姉妹との間で不公平感が生じる場合があります。 

アパートは高額な財産になりやすいため、贈与を受けなかった相続人が遺留分を主張し、金銭請求につながることもあります。 

もし、名義変更を済ませていても、家族間の感情面まで解決できるとは限りません。 

トラブルを防ぐには、贈与の理由や他の財産の分け方を事前に話し合い、必要に応じて遺言書や専門家の助言を活用することが大切です。

アパートの生前贈与で発生する税金と費用の内訳

アパートを生前贈与する場合、贈与税だけでなくさまざまな税金や手続き費用が発生する点に注意が必要です。 

贈与を受ける側は贈与税の負担があり、さらに不動産の名義変更時には登録免許税や不動産取得税もかかります。 

加えて、贈与後は受贈者が毎年の固定資産税や家賃収入に対する所得税なども負担することになります。 

ここでは、贈与前に把握しておきたい主な税金と費用を見ていきましょう。

財産を受け取る受贈者に課せられる贈与税

アパートを生前贈与すると、財産を受け取る側に贈与税がかかるのが原則です。 

贈与税は、1年間に受けた贈与額から基礎控除を差し引き、残りの金額に税率をかけて計算します。 

アパートのように評価額が大きい不動産を一度に贈与すると、税負担が高額になることも少なくありません。

暦年課税や相続時精算課税制度を活用できる場合もありますが、どの制度が適しているかは状況によって異なります。 

事前に評価額と税額を確認しておくことが大切です。

不動産名義変更に伴う登録免許税と不動産取得税

アパートを生前贈与する際は、名義変更に伴う登録免許税と不動産取得税も発生します。 

登録免許税は所有権移転登記の際にかかる税金で、贈与では相続より税率が高くなるのが一般的です。 

また、不動産取得税は不動産を取得した人に課される税金で、贈与でも対象になります。 

これらは贈与税とは別に必要になるため、総額を見落とすと資金計画に影響します。 

贈与後に毎年発生する固定資産税や所得税

アパートを生前贈与した後は、受贈者が固定資産税や所得税を負担することになります。 

固定資産税は土地や建物の所有者に毎年課される税金です。 

また、家賃収入がある場合は、必要経費を差し引いた不動産所得について所得税や住民税の申告が必要になります。 

贈与を受けた直後だけでなく、毎年の維持費や税負担も見込んでおくことが大切です。 

収支計画を作成し、管理費や修繕費も含めて無理なく運営できるか確認しましょう。 

手続きを依頼する司法書士や税理士への専門家費用

アパートの生前贈与では、司法書士や税理士へ依頼する費用も見込んでおく必要があります。 

司法書士には所有権移転登記、税理士には贈与税の申告や税額シミュレーションを依頼するケースが多いです。 

司法書士の報酬は5万円~10万円程度、税理士は5万円~20万円ほどが相場となっています。 

しかし、報酬額は不動産の評価額や手続きの複雑さによって変わるため、一律には判断できません。 

自分で進めるより費用はかかりますが、登記や税務のミスを防ぎやすくなります。 

依頼前には業務範囲と見積もりを確認しておくと安心です。

生前贈与に向けたアパート評価額の正しい計算方法

アパートを生前贈与する際は、土地と建物の評価額を正しく把握することが大切です。 

評価額は贈与税や各種手続きに影響するため、計算方法を誤ると想定外の負担につながる場合があります。 

ここでは、土地と建物の評価方法を整理します。 

賃貸アパートの土地(貸付地)の評価額計算

賃貸アパートの土地は、路線価方式や倍率方式をもとに評価するのが一般的です。 

アパートが建っている土地は貸家建付地として扱われ、借地権割合や借家権割合、賃貸割合などを反映して評価額を計算します。 

また、自分で自由に使える土地より評価額が下がる場合があるため、贈与税や相続税の計算に影響します。 

ただし、土地の形状や利用状況によって評価は変わるため、正確な金額は税理士に確認すると安心です。

賃貸アパートの建物の評価額計算

賃貸アパートの建物は、固定資産税評価額をもとに評価するのが一般的です。 

固定資産税評価額は、市区町村が建物の構造や築年数、床面積などを踏まえて算定します。 

また、評価額は固定資産税の納税通知書や評価証明書で確認できます。 

実際の売買価格とは異なるため、贈与税の計算では必ず税務上の評価方法を確認することが大切です。 

賃貸中の建物では、借家権割合などが関係する場合もあります。

アパートを生前贈与する具体的な手続きと流れ

アパートを生前贈与するには、契約書の作成、名義変更、贈与税の申告といった手続きを順に進める必要があります。 

書類や期限に不備があると、手続きが滞ることもあります。 

ここでは、アパートを生前贈与する際の基本的な流れを解説します。 

必要書類の準備と正式な贈与契約書の作成

アパートの生前贈与では、まず必要書類をそろえ、贈与契約書を作成します。 

登記事項証明書、固定資産評価証明書、本人確認書類、印鑑証明書などが必要になることが一般的です。 

贈与契約書には、贈与する不動産の内容、当事者、日付などを明記し、双方で署名・押印します。 

もし、口約束だけの場合は、後のトラブルにつながりやすいため、書面で残しておくことが大切です。 

不安がある場合は、司法書士や税理士に確認してもらうと安心です。 

法務局での不動産名義変更(所有権移転登記)

贈与契約を結んだあとは、法務局で所有権移転登記を行います。 

登記をすることで、受贈者が不動産の所有者であることを公的に示せます。 

手続きには、贈与契約書、登記識別情報、固定資産評価証明書、印鑑証明書などが必要です。 

書類に不備があると手続きが進まないため、事前確認が大切です。 

不動産の登記は専門的な内容も多いため、司法書士へ依頼するとスムーズに進めやすくなります。

翌年の贈与税の確定申告と納税手続き

アパートの贈与を受けた場合、贈与税の申告が必要になることがあります。 

贈与税は、贈与を受けた年の翌年に申告・納税する仕組みです。 

申告では、贈与契約書や登記事項証明書、固定資産評価証明書などをもとに評価額を確認します。 

基礎控除や特例を使える場合でも、制度によっては申告が必要です。 

期限を過ぎると加算税や延滞税が発生する可能性があるため、早めに準備しましょう。 

税額計算に不安がある場合は税理士に確認すると安心です。 

まとめ:アパート経営の生前贈与で相続対策を成功させるには

アパート経営の生前贈与は、家賃収入を子供や孫へ移したり、特定の後継者を明確にしたりできる有効な相続対策の1つです。 

一方で、贈与税、不動産取得税、登録免許税、固定資産税などの負担があり、相続時より有利になるとは限りません。

 

小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性や、遺留分をめぐる家族間トラブルにも注意が必要です。 

暦年課税や相続時精算課税制度を活用する場合も、評価額や将来の相続税まで含めて比較しましょう。 

税理士や司法書士に確認し、家族で十分に話し合うことが納得できる承継につながります。 

 

株式会社マリモは、不動産事業を50年以上手がけてきた実績をもとに、長期にわたって安定した収益が期待できる立地と、長く住み続けていただける木造アパートづくりにこだわっています。 

お客様目線で確かな情報をお届けすることを大切にしていますので、アパート経営や物件選びでお悩みの方は、ぜひマリモの木造アパート経営の情報をご確認ください。 

この記事の監修

マリモ賃貸住宅事業本部

不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。部内の資格保有者(宅地建物取引士一級建築士一級施工管理技士二級ファイナンシャル・プランニング技能士管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。

コンテンツ制作ポリシー 会社概要