アパート経営を成功させるには、物件を購入する前に「耐震性に問題がないかどうか」の確認が必須かつ重要です。
経年にともない耐震性が劣化すると、地震が起きた際に建物の倒壊を招くだけではなく、入居者が被害に巻き込まれる危険性も考えられます。
そこで本記事では、アパートの耐震性を判断する基準や、アパートが被災した場合のオーナーの責任範囲などについて紹介します。
アパート経営をお考えの方は、最後までご覧ください。

1. アパートの耐震性を判断する際に押さえておきたい項目

アパートを長期的に経営できるかどうかは、建物の耐震性で決まるといっても過言ではありません。

耐震性を判断する際に押さえておきたい項目は以下のとおりです。

1.1 項目①耐震基準

アパートの耐震性を確認する際は、購入を検討している物件が「新耐震基準」を満たしているかどうかを見極めましょう。
新耐震基準とは「建築物が地震に耐えられる構造の基準」であり、具体的には、「震度6強~7程度の揺れでも建物が倒壊しないこと」と定められています。

アパートの新耐震基準は、物件が建てられた時期を示す「建築年月」で判断が可能です。
建築年月が「1981年6月1日以降」であれば新耐震基準を満たしていますが、「1981年5月31日以前」であれば、改正前の「旧耐震基準」に当てはまります。
旧耐震基準では「震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないこと」が定められており、新耐震基準よりも耐震性が劣ります。

そのため、耐震性に優れるアパートを購入したいとお考えの方は、なるべく新耐震基準に当てはまる物件を購入しましょう。

【構造別】アパートの法定耐用年数

アパートが新耐震基準を満たしていても「法定耐用年数」を過ぎている場合は、耐震性に問題がある可能性があります。
法定耐用年数とは、国税庁が定めている税制上の耐用年数であり、建物の構造(建物に使われる素材)によって年数は異なります。
アパートの法定耐用年数は以下のとおりです。

アパートの法定耐用年数

アパートの構造

耐用年数

鉄筋コンクリート造

47年

木造

22年

鉄骨造(骨格材の厚みが3mm以下)

19年

鉄骨造(骨格材の厚みが3〜4mm)

27年

鉄骨造(骨格材の厚みが4mm以上)

34年

アパートの構造が頑丈であるほど、法定耐用年数も長くなります。
建物の耐震性にこだわりたいとお考えの方は、鉄筋コンクリート造や、厚さのある骨格材が使われている鉄骨造のアパートを選びましょう。

その他にも建物の構造には特徴や利益の出しやすが異なり、建物の構造について理解を深めたい方は以下の記事をご覧ください。

アパート経営は木造・鉄骨造・RC造どれがいい?構造ごとの特徴とは

アパート経営におけるアパートの減価償却と法定耐用年数とは?

1.2 項目②建物の形状

アパートの形状も、耐震性に深く関係します。
真上から見ると四角形の「平面形状」の建物は力が分散されるため耐震性に優れ、一方で変則的な形状の建物は、接合部分に負担がかかりやすく、耐震性が劣る傾向にあります。
また、1階部分が空洞になっている形状の「オーバーハンチング」は、機能性やデザイン性には優れますが、耐震性は低いため注意が必要です。
アパートの耐震性を損ねないためにも、なるべく正方形や長方形などの、四角形状の物件を選んでみてください。

1.3 項目③建物構造

建物を支える骨組みや建築材料を「建物構造」といいます。
アパートの建物構造は、従来の「壁式構造」と、間取りの自由度が高い「ラーメン構造」の2種類に分けられます。

壁式構造は、壁パネルや床板などを組み合わせる工法です。
間取りの自由度は低くなりますが、地震の揺れを受け止める面積が大きく、耐震性に優れます。
一方でラーメン構造は、柱と梁を一体化させて、壁の枚数が少ない空間を造る工法です。
空間を広く使えることがメリットですが、横からの力に弱く、壁式構造と比較すると耐震性は劣ります。

どちらの工法も、それぞれメリット・デメリットが存在しますが、耐震性を重視する場合は、壁式構造の物件を選びましょう。

1.4 項目④柱の数

アパートに使われる柱の数が多いほど、建物全体を支える力が強まり、結果的に耐震性や耐久性が向上します。
たとえば、前項で紹介したオーバーハンチングの形状は、1階部分に使われている柱の数が少ないため、建物全体を支える力が弱くなります。
ほかにも、アパートの共有部分あるいは室内に大きな吹き抜けがある場合や、建物の平面形状が不整形である場合なども、耐震性は優れません。
建物のレイアウトやデザインを確認したうえで、なるべく柱が多く使われているアパートを購入しましょう。

1.5 項目⑤老朽化の程度

建物の形状や構造などに問題がなくとも、老朽化しているアパートには、しばしば耐久性の低下が見られます。
以下のような症状が見られる物件は、老朽化が進行しているため、購入を控えることをおすすめします。
アパートの老朽化が進行している場合に見られる主な症状

・外壁のひび割れ
・共有部分の汚れや傷
・室内の傾き
・床の剥がれ・たわみ
・雨漏り
・ほかの部屋からの音漏れ
・建具の建付けの悪化

上記はあくまでも一例であり、アパートの老朽化が進行すると、ほかにもさまざまな症状が現れます。また、外壁や共有部分とは異なり、室内の状態は外部から確認できません。
そのため、アパート経営用に購入する物件を選ぶ際は、不動産投資会社に相談のうえ、部屋の中を実際に見せてもらいましょう。

老朽化の程度を確認できる修繕履歴とは

「民法第606条」に基づき、アパートをはじめとした賃貸物件の設備に不備や故障が生じた場合、物件のオーナーには、その設備を修理・修繕する義務が課されます。
建物の老朽化の程度は、賃貸物件のオーナーが記録している「修繕履歴」で確認できます。
アパートの築年数が古くないにもかかわらず、修繕履歴に多くの記録が残されている場合は、建物の老朽化が進行している可能性があるので、購入は控えたほうが賢明でしょう。

2. アパートの被災時における責任範囲

地震や台風などの自然災害の影響でアパートが損壊したり、その損壊にともない入居者に危害がおよんだりした場合は、オーナーがその責任を負います。
「故障した設備を修理しなかった」「耐震診断が義務付けられていたが放置していた」など、オーナーの対応に問題があると判断された場合は、修繕義務賠償責任が生じます。 

ただし、「地震のときに転んでケガをした」といったように、入居者自身に責任がある場合は、オーナーが賠償責任を負う必要はありません。

以下の記事では、災害以外にも考えられるアパート経営のリスクなどについて解説しています。対策方法も紹介していますので、あわせてご覧ください。

アパート経営とは?基本的な知識や概要について徹底解説!

3. アパート経営を成功させるため物件を選ぶ際は耐震基準や建物構造を確認しよう

アパート経営を成功させるコツは、アパートを購入する際に、耐震性に優れる「新体制基準」に該当する物件を選ぶことです。
建築年月が「1981年6月1日以降」であれば新耐震基準、「1981年5月31日以前」であれば、改正前の旧耐震基準に当てはまるため、事前に確認しましょう。 

ほかにも、アパートの形状や建物構造、老朽化の程度なども、耐震性に深く関係します。
ご自身あるいは不動産会社に問い合わせたうえで、耐震性に問題がないかどうかを確認しましょう。

いかがでしたでしょうか。 

株式会社マリモでは、耐震性に優れる投資用アパートを多数ご用意しております。
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この記事の監修

マリモ賃貸住宅事業部

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