アパート経営をするうえで、近年、注目を浴びているのがインターネットの導入。
いったいインターネットを導入することで、どのような効果が生まれるのか。
逆に、注意点とは? 費用はどれくらいかかるの?
ここでは、アパート経営をするうえで知っておきたい、インターネット導入についてお伝えします。
1 アパート経営におけるインターネット導入による効果
アパートのオーナーが自分のアパートにインターネットを導入することで得られる効果を解説します。
1.1 ニーズが高い
多くの入居者が、「インターネットに無料接続できるアパートに住みたい」と考えています。
スマートフォンなどの場合、ケータイ電話会社の回線を使えるから、Wi-Fiは不要なのではないか、と考える人も多いですが、近年はスマホやタブレットを使って動画配信サービスを利用する人も多いです。
その場合、通信会社の回線ではなく、Wi-Fiを使ったほうがスムーズに視聴できると感じている人も少なくありません。
インターネット回線を個人で引くことも可能ですが、引っ越しの度にその手続きをするのは手間がかかります。
そのため、手続き不要で、入居したその日からインターネットを利用できるというのは、ある一定の層からは高い支持を集めることができます。
今やインターネットは生活の必需品。
だからこそ、インターネットを利用できるアパートに住みたいと考える入居者が増加しています。
空室対策としてインターネットの導入をする大家さんは多いです。
空室になってしまう以外にもリスクはありますので、回避方法と一緒に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
1.2 家賃収入の向上が期待できる
入居者の中には「多少家賃が高くても、インターネット設備が充実しているところのほうがいい」と考えている人もいます。
リフォームなどさまざまな手を尽くしたけれども、「これ以上収益アップの手段が見つからない!」という大家さんはぜひインターネットサービスの導入を考えてみてください。
既存の家賃等にもよりますが、2,000~3,000円ぐらいの家賃アップの可能性があります。
個別でインターネット回線を引いた場合、5,000~7,000円ぐらいかかるので、入居者は「このぐらいの費用負担でネットが使い放題なのは安い!」と感じられます。
以下の記事では、アパート経営で見込める年収について解説しています。実際に設定した家賃に対してどのくらいの収入になるのか、気になる方はあわせてご覧ください。
1.3 近隣の競合物件との差別化が図れる
周囲に似たような物件が多くある場合、“インターネット無料”を導入して差別化を図ることもできます。
とくに若者世代は、テレビよりもインターネットで動画を視聴する時間のほうが長いようです。
また、昨今は、ネットゲームをするためにインターネット回線が必要不可欠です。
人気のエリアには競合物件が存在しがち。
家賃も間取りもほぼ一緒、といった場合、インターネット無料が決定打になる可能性もあります。
2 インターネット導入方法
インターネットの導入方法として、以下の2つが挙げられます。
2.1 宅内設置型
各戸に有線でWi-Fiをつなぐタイプの導入方法。
最初は回線引き込み工事が必要ですが、宅内でWi-Fi接続ができるため、回線が安定しやすいです。
そのため、インターネットの利用者が多いアパートに向いています。
有線でWi-Fiを引き込むため、有線LANも使用できます。
ただし、各部屋においての工事の立ち合いが必要なため、すでに入居者のいるアパートの場合、導入が難しい可能性があります。
2.2 共用部設置型
アパートの廊下や壁などにWi-Fiルータを設置する方法。
各部屋の工事が不要なため、比較的簡単にWi-Fi環境を整えられます。
しかし使用できる範囲が限られているため、利用者の満足度は宅内設置型に比べて落ちる可能性も。
基本的には、木造アパートでのみ利用できる方式となります。
3 インターネット導入費用
インターネットを導入した際、以下の経費がかかります。
3.1 初期費用
初期費用として、工事費用などがかかります。
業者やサービス内容によって異なりますが、1戸5万円程度を目安としておくのがいいかもしれません。
近年は、初期費用無料サービスを行っている業者もあるので、気になる方は調べてみるのもいいでしょう。
3.2 月額費用
毎月のプロバイダー料や保守費用などが必要になります。
月額使用料は、サービス内容や業者によって大きく異なりますが、大体1戸500円ぐらいと考えておくと良いと思います。
戸数が多いほど、1戸当たりの費用は安くなる傾向にあります。
実際に導入する段階になったら、必ず複数社から見積もりを取りましょう。建物の構造によっては導入できないケースもあるので、事前にしっかり調べておきましょう。
4 インターネット導入時の注意点
最後に、インターネット導入時の注意点をお伝えします。
4.1 費用対効果を確認しておく
インターネットの導入が、必ずしも入居者の満足度を高めるとは限りません。
例えば、比較的高齢の人が多く住むアパートの場合、そこまでインターネット導入を必要としない場合もあります。サラリーマンなども会社ではインターネットをよく利用するかもしれませんが、家では通信会社の回線さえあれば十分かもしれません。
また賃料の安さを売りにしている場合、たとえインターネット回線を導入したからといって、家賃をアップしてしまえば、入居者が減ってしまうことも考えられます。
そうならないためにも、自分のアパートの入居者は何を求めているのか、入居者ニーズを的確につかむことが重要です。
4.2 通信速度にも注意する
しかし“無料”だけを頼っていてもいけない場合があります。
現代では多くの人がネット回線の通信速度も重要視します。
たとえ、インターネットが無料で利用できたとしても、一つの回線を多くに人が同時に使用する場合、通信速度が遅くなってしまい「全然使えない」となってしまう可能性もあります。
通信速度が遅いことが逆にクレームにつながり、最悪、退去の原因になってしまうかもしれません。
近年はインターネットでの会議やオンライン授業などが増え、回線の需要は高まっています。
インターネットを導入する際は、値段だけでなく、通信速度の速さや安定についても考慮しましょう。
4.3 建物の構造によっては、インターネットを導入できないこともある
どこでも簡単にインターネットの回線を引けるとは限りません。
とくに共用部設置型では、鉄筋コンクリート造などの場合、電波が届かないことも。
鉄筋コンクリート造のアパートでも電波を飛ばすことができるサービスを提供している会社もありますので、実際に利用できるか否かは、各業者に問い合わせましょう。
4.4 途中で解約すると解約料金が発生することも
「やっぱりインターネット無料をやめたい」「業者を替えたい」と思っても、契約期間内だと、解約金が発生する場合があります。
上記のように、通信速度が遅いなどのクレームを受けると、「業者を替えたい」などの気持ちが出てくるかもしれません。
その際、解約金が発生したらがっかりしてしまいますよね。
解約金を支払わなくても済むよう、最初の業者選びはしっかり行うようにしましょう。
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この記事の監修
マリモ賃貸住宅事業部
不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。
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