アパート経営者の悩みの一つに家賃の設定があるでしょう。
家賃設定は不労所得収入の要になります。
アパート経営者からすれば、より高い家賃で入居してもらえれば、ありがたいです。
しかし、適当な理由で高い家賃にしてしまえば空室が増えてしまうのは誰でも想像できるでしょう。
入居者の方は沢山の物件の中から自分の予算、立地条件や間取り、設備などを他物件と比較して、どこのアパートに入居するか決定します。
ここでは適正家賃の設定方法などをご紹介していきたいと思います。
家賃設定に悩んでいるアパート経営者の方必見です。
1. アパート経営で家賃設定に失敗するとどんな問題が起きる?
アパート経営の家賃設定での失敗例をご紹介します。
失敗例からどんな問題点があるのか、どういった事態になるのか学んでいきましょう。
1.1 安過ぎる家賃設定ではアパートの維持費がまかなえない
もし周辺のアパートの家賃相場よりも家賃を安くすれば入居者が集まり経営がうまくいきそうな気がしてしまいがちです。
しかし、これは経営者としては間違いです。
入居者が殺到しても部屋数には上限があり、その部屋数以上の収入は見込めません。
なにより安過ぎる家賃設定ではアパート経営を行ううえで支払わなければならない経費ですら回収できない可能性もあります。
アパート経営のランニングコストには以下のようなものがあります。
◆アパート経営のランニングコスト◆
・ローン返済
・火災保険料
・地震保険料
・管理会社への手数料
・修繕積立金
・共用部分の電気代
・清掃代
などです。
いくら満室になったとしても、ランニングコストで収入が赤字になってしまうような経営では、もちろん長く続けられません。
仮に、全12部屋のアパートが1部屋月4万円の家賃設定をしていたとします。
満室だった場合、家賃収入は月48万円です。
ランニングコストが30万円だとすれば月の利益は18万円、40万円で8万円となります。
50万円では2万円の赤字になってしまいます。
これは満室を維持できているときの収支であり、必ずしも満室を維持しながら経営できるとは限りません。
安過ぎる家賃設定では、赤字経営に転落してしまうのは容易に想像できます。
1.2 高過ぎる家賃設定では入居者が集客できない
アパートの家賃設定するときは、近隣のアパートの家賃相場を知るのはかなり重要になります。
自分のアパートを数ある他のアパートの中から選んでもらう必要があるからです。
入居者は住みたいエリアの中で、同じような物件ならば安い部屋に住みたいと思うのは想像できるでしょう。
家賃が相場より高い場合や駐車場代、共益費が高い場合はなかなか入居者が決まらず、空室になり赤字経営に転落する原因になってしまいます。
しかし、アパートに個性や特別感があり、入居者が希望するような物件になっていれば、相場より高い値段で設定した場合でも満室にできます。
例えば、デザイナーの建てたアパートや緑に囲まれ都会を忘れるような空間を演出するアパートは人気が高いです。
アパートに個性や特別感を出すためにはそれなりの経費や努力が必要になります。
しかし、何か他にはない魅力を作れるのであれば、高い家賃設定をしても、人気物件になる可能性はあります。
2. 不動産鑑定士による家賃の算出方法
家賃設定にお悩みの方には、不動産鑑定士による家賃の算出をお願いしてもいいでしょう。
不動産鑑定士の鑑定料の相場は20万円くらいから、敷地の大きさによって異なります。
広い土地や建物になってくれば作業量なども増えてくるため高くなっていきます。
2.1 積算法
積算法とは元本に対してどれだけ利益がでるかといった観点で計算する方法です。
「基礎価格×期待利回り+必要諸経費等」または「物件の時価×投資の利回り+必要諸経費等」といった計算方法で計算します。
この計算方法はアパートの所有者の立場から見ての適正な家賃の計算方法です。
積算法は不動産売買取引の決定をする際の計算方法であり、家賃算定での使用はあまりありません。
2.2 賃貸事例比較法
賃貸事例比較法とは周囲の競合物件の家賃と比較して家賃設定する方法です。
自分のアパートの入居者を募集する際にできるだけ条件の近い物件を探して家賃相場を比較してください。
その時は部屋の条件以外にも、立地条件や階数なども参考にして計算します。
2.3 収益分析法
収益分析法とは店舗やホテルの値段を決める時に使う算出方法です。
基本的にアパートの家賃設定には使用しません。
3. アパート経営の家賃を設定する際に確認するポイント
アパートの家賃設定の際、自分の持ち物件と近隣の競合物件と見比べてみましょう。
その中で以下のような項目を見ながら加点減点方式で相場より高くするべきか、安くするべきかを考えてみると分かりやすいと思います。
まずは、自分の物件を自己分析するところから始めてみましょう。
3.1 アパート経営に最低限必要な費用
先程も申し上げた通り、アパートには最低限のランニングコストがかかります。
アパートのローンの返済のほか、火災保険や地震保険にも加入が必要です。
そして見落としがちなのが共用部分の電気代や修繕積立金などです。
これらも毎月積み立てておく必要があります。
アパートを経営している方の最低限必要な経費はローン額にもよりますがランニングコストはおおよそ、30万円〜50万円と言われています。
共用部分の電気代は、人感センサーを付け無駄に電気をつけたままにしないようにしたり、保険料は10年一括払いにしたりするなど節約方法もさまざまです。
ご自身で電気の設置や保険に加入する際に1度検討してみるのも良いでしょう。
3.2 同じエリアにあるアパートの家賃相場
ご自身のアパートがある周辺での家賃相場の調査は家賃設定をするうえで重要です。
もちろん現在はインターネットの普及で簡単に検索できます。
全く同じような間取りなどの条件で、満室の物件がある場合はそのエリアの相場は適正家賃と考えられます。
また空室が多い場合はそのエリアの相場より、高い設定では入居者がいないと考えられます。
家賃設定を空室物件より安く設定するなどの努力が必要でしょう。
家賃設定金額の相場よりも数千円でも値段を下げれば差別化ができ、入居者が入る可能性があがります。
駅から近い、病院やスーパーなど便利施設が周辺に多くなればなるほど、アパートの需要は高まります。
もしも家賃設定でお悩みの場合は、アパート経営をするうえでお世話になる不動産会社に相談してみるのも一つの方法でしょう。
不動産会社は当然家賃設定について多くの情報を持っているので、どんな立地だとどんな年代の方が求めているかなど、経験を元にアドバイスをしてくれます。
駅からの距離や築年数で相場も変わってくるので、専門家からのアドバイスを受けて不安を解消できます。
3.3 アパートの階数
アパートの階数は高層階になればなるほど、家賃設定が高くなります。
1階は自宅に入るのは楽ではありますが、防犯上女性の入居者にはあまり人気がありません。
しかし上層階であっても3階以上の部屋で、エレベーターが無い場合は年齢が高い方などは、敬遠しがちで人気がでない場合もあります。
3.4 アパートの間取りや広さ
アパートの間取りは大きければ大きいほど、高い家賃設定にできます。
近隣エリアの広さと比べて部屋数が多い、間取りが広いなどこちらに好条件があるのであれば、家賃設定をアップしても入居者が入る可能性が高くなります。
アパートを借りる方の中で多くの方が求める条件は、部屋数の多さや間取りの広さである場合が多いです。
もしも、エリア内の人気物件よりも間取りが広い場合は、数千円の家賃設定アップを考えてみるのもいいかもしれません。
3.5 アパートの設備
アパート選びをしている入居者の中では、設備面を重視している方も多いです。
では、実際どんな設備があると入居者を多く集められるのかご紹介させてもらいます。
防犯設備に安心できるアパート
アパートの住人の出入り口にオートロックがあると女性の1人暮らしなどでも安心して入居ができます。
オートロックを設置するには設備費が掛かってしまいますが、防犯面の高さは求められる場合が多いので家賃アップが期待できます。
インターネットの接続ができる設備
インターネットや新型コロナウイルスによるリモートワークの普及により、アパートの入居者が重視する設備の1番人気はインターネット設備です。
会社や学校などリモートが主流になった今、インターネットの接続が無料でできるのは大きな強みになります。
また普通のインターネット回線ではなく、高速インターネット回線であればよりアパートの強みにできるでしょう。
浴室の充実やトイレが別な物件
単身者の場合はあまり気にされない部分ではありますが、2人暮らしやファミリー層をターゲットにするならば、トイレと浴室が別になっているのは、必須条件になってきます。
またとくにファミリー層であればお風呂の追い炊きが出来るとガス代や水道代の節約につながります。
そのため追い炊き機能があるお風呂へのこだわりがある方が多いです。
反対に単身者で人気があるのは浴室乾燥機が付いた物件です。
浴室乾燥機を付けているのならば、積極的にアピールすると家賃設定価格を高くできるでしょう。
独立化粧台など水回りのリノベーション済み物件
水回りは顔を洗ったり、歯を磨いたり衛生的で保ちたい1番の要素となります。
独立した化粧台は女性入居者にとってはとくに気になる部分でしょう。
また、キッチンがIH機能付きや、広い構造かどうかも、自炊をする入居者にとってはプラス要素となります。
その他便利な設備があれば入居者が集まる
その他には、いつでもゴミが捨てられるゴミ捨て場があるアパートも人気があります。
しかし、その場合は管理人などを置いてゴミ出しをしてもらう必要があります。
そうなると別途、人件費がかかってしまうので検討が必要です。
4. 設定した家賃のアパート経営で赤字を出さないための注意点
設定した家賃のアパート経営で赤字を出さないためにはいくつかの注意点があります。
まずは、初めにアパートを購入する際に、長期的に見ても立地面で需要のある場所にあるかどうかです。
立地が良くても、その地域が最近人口減少傾向にあるのであれば、今後過疎化してしまい入居者の確保が難しくなるかもしれません。
アパートを購入する際には、駅は近いか、近くにスーパーなどはあるかを重視してしまいがちですが、人口の動きまで確認しておくと赤字になりにくいです。
また、どうしてもかかってしまうアパートの維持費を節約できれば月々の支出が減り赤字を回避できます。
しかし、節約方法を間違えてしまうと逆に入居者を減らしてしまう結果になるかもしれません。
例としては共有部分の電気です。
夜間ずっとつけっぱなしはもったいないからと、一定時間消灯してしまうのは危険です。
住民が深夜に帰ってきた際に真っ暗では怖いだけではなく鍵が開けられなかったり転倒してしまったりする可能性があります。
共有部分の電気を節約したいのであれば、完全消灯するのではなく人感知センサーを取り付け、必要なときはしっかりと電気がつくようにしておくと安心です。
アパート経営で赤字を出さないように対策を取るのは大切ですが、1番に考えるべきは入居者の安全と過ごしやすさです。
入居者をないがしろにしてしまうと、空室が増え赤字がどんどん膨らんでしまいます。
以下の記事では、アパート経営で注意しなくてはならないリスクとその対策方法についても詳しく解説しております。成功させるためにも知っておくべき情報が満載ですので、ぜひご覧ください。
5. アパートの入居率を増やすにはどうしたらいい?
アパート経営を行う上で気を付けなければいけないポイントはたくさんあります。
こちらの記事で入居率を増やすためのすべきことを紹介しています。参考にして、アパート経営を成功させましょう。
6. 周りのアパートを参考に第一は入居者
いかがでしたか?
アパート経営を始める際に、家賃設定はかなり重要です。
安すぎても高すぎてもいけません。
また、アパート経営をするうえで、忘れてはいけないのは入居者の存在です。
アパート経営を安定させるために、節約などをするのは良いですが、1番は入居者が安全に過ごしてくれるかどうかです。
どうしても決めかねているのであれば、不動産会社などに相談しても良いでしょう。
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この記事の監修
マリモ賃貸住宅事業部
不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。
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